湘南 海友(MIYU)プロジェクト・シティスタイル
ニチハ株式会社

Designer's Voice ~サイディングの可能性~

サイディングで豊かな表情を実現
湘南初の環境配慮型木造中高層ビル

Nichiha Designer's Voice vol.7

神奈川県藤沢市 木造中高層ビル湘南 海友(MIYU)プロジェクト・シティスタイル

湘南初の木造中高層ビルにサイディングをご採用いただいた施工例をご紹介します。

  • 株式会社梶浦暁建築設計事務所
    代表取締役
    梶浦 暁 様
  • 富士リアルティ株式会社
    湘南乃工務店一級建築士事務所
    コンサルティング事業部 部長
    細田 智康 様

木造中高層ビルの建設が湘南の海を守ることにつながる

ニチハ

今回、湘南地域で初の木造中高層ビル「湘南海友(MIYU)プロジェクト・シティスタイル」を建設されたとのことですが、コンセプトから伺えますでしょうか。

細田

こちらは「湘南の海を守る」という思いで始まったプロジェクトから生まれた、国産・地域産木材を活用した4階建ての中高層複合ビルです。 海には、森林から雨とともに流れ出したごみなどがあり、海洋汚染の原因になっていることがあります。 つまり、海を綺麗にするには、まず水源である森林を整備することが大切なのです。 整備で森林を綺麗にできるのはもちろんのこと、適切な間伐を行うことで木々が生長しやすくなり、CO2の吸収量を上げることができます。 神奈川県産の木材を地産地消することで輸送時のCO2排出量も抑えられるので、SDGsの視点でもメリットがあります。

ニチハ

なるほど、木造ビルを建てることがSDGsにつながってくるのですね。

木の質感が印象的な1階入り口部分。

梶浦

内外装のデザインについては「海と木と自然の融合」をコンセプトにしました。湘南地域=海というイメージがありますが、藤沢市は南北に長く、海沿いとそれ以外の場所の雰囲気は大きく異なります。 今回の建築物はどちらかというと駅周辺の都会的な雰囲気のある地域に位置しますので、そこに合ったデザインというのを大切にしました。

細田

構造体が県産材でしたので、外壁にも木を活用しようということになりました。しかし、木を使うとなるとメンテナンスの問題があるため、手入れのしやすい1階には木を使用し、 2階以上にはアクセントでニチハさんの「モエンエクセラード16NOHASシリーズ キャスティングウッド ナチュラルオーカーMG」を採用しました。 本物の木のような凝ったデザインが非常にマッチしていると思います。

光によって多彩な表情を見せる、町馴染みのよいサイディング

ニチハ

本建築物では弊社の「モエンエクセラード16 トリル ノーマMGチャコール」をメインで採用いただいておりますが、決め手などはありましたでしょうか。

光を反射して、まるで海のきらめきのような表情に。

梶浦

湘南は空が広く、都内よりも光を受けやすい場所だと感じています。朝、昼、夕どの時間の光も当たるので、建物の表情の移り変わりが楽しめる外観デザインにしたいと考えました。 そうなると、ALC等ではなく、陰影や奥行き感があり、テクスチャーのバリエーションが豊富な窯業系サイディングから検討したいと思い、最初はいろんなサンプルを取り寄せましたね。

細田

光を受けて建物自体がより魅力的になるよう、いろんな質感や色を検討しました。コストなども併せて検討したところ、さわやかでありながら都会的な落ち着きもあるトリルがいいなと思ったんです。

ニチハ

トリルは直線と曲線が融合した、リズム感があってふんわりとしたデザインが個性的ですよね。

梶浦

一色でも陰影の細かい表現ができますし、天気や時刻など、光の受け方で雰囲気が変わっておもしろいと思いました。 また、チャコールの繊細な色味により、柔らかい印象に仕上げることができたのではないでしょうか。

ニチハ

ビルにサイディングを採用することに関してはいかがでしたか。

やさしい色味のトリル ノーマMGチャコール

梶浦

湘南地域は木造だと低層建築物が多いのですが、今回は中高層建築物です。住宅にもよく使われるサイディングを採用したことで「突然新しいビルが建った」という感じにならなかったのがよかった点です。 違和感なく町に馴染んでいると思います。

細田

今回採用させていただいた2種類のサイディングは国産木材チップを使用していて、貼るだけで環境保護できるというのもいいですね。本建築物のコンセプトにすごく合っているなと感じます。

地域の業者チームでつくりあげる木造ビルを推進していきたい

ニチハ

木造のビルが増えてきていますが、実際に施工してみて感じたメリットなどはありますでしょうか。

梶浦暁建築設計事務所様にてお話を伺いました。

細田

やはり工期が短い点が一番のメリットだと感じます。建方工事を2週間ほどで完了させることができました。 このエリアで木造だと、2×4工法に馴染みがある業者さんが多いと思うので、今回2×4材を使って4階建てを実現できたのがよかったです。 無理のないつくり方なので、これから広く普及していくと思います。

梶浦

木造2階建てを建てるときと基本的に同じスキルでできるので、住宅の延長的な感じで作業ができますよね。 職人さんもやりやすいですし、なにより地域の業者の方々で力を合わせることで、木造ビルを実現できたことが良かったと思います。

細田

地域の人たちでつくることで藤沢らしさも出るし、雇用も生まれるし、すべて藤沢のためになるので藤沢に貢献できるんですよね。 今後もそういった形でつくれるよう、チーム藤沢、チーム鵠沼、チーム湘南というようなコンセプトでやっていきたいですね。

ニチハ

最後に弊社のサイディングについてご意見やご要望などありましたらお聞かせください。

細田

現時点では石膏ボードとモエンエクセラードを組み合わせて木造外壁1時間耐火構造が実現していると思うのですが、サイディング単体でクリアできるようになれば工程を縮めることができるのでいいなと思っています。 これから木造4階建て以上がもっと増えてくれば需要もあるのではないでしょうか。

梶浦

私はジョイントやシールが気になるので、シーリングレスのサイディングのバリエーションを増やしてほしいですね。サイディングの意匠性はどんどんよくなってきているので、あとはそこをクリアできれば採用の幅も広がると思います。

ニチハ

サイディングにできることはまだまだあるなと感じました。貴重なご意見をいただきありがとうございました。