MOCXION稲城
ニチハ株式会社

Designer's Voice ~サイディングの可能性~

環境配慮+上質感が魅力
日本最大級の木造マンション

Nichiha Designer's Voice vol.8

東京都稲城市 木造マンションMOCXION INAGI(モクシオン 稲城)

日本最大級の木造賃貸マンションにサイディングをご採用いただいた施工例をご紹介します。

  • 三井ホーム株式会社
    施設事業本部 設計部設計グループ チーフマネージャー
    奈留 隆善 様

これまでに培ってきた技術を活かし、持続可能な木造建築物を普及する

ニチハ

今回、日本最大級の木造賃貸マンション「モクシオン稲城」を建築されたということで、本建築物へのこだわりや技術についてお聞かせください。

奈留

三井ホームはこれまで木造建築物の高性能な住宅づくりを目指してきました。モクシオンは、弊社が培ってきた木造枠組壁工法の技術を余すところなく活かした建築物となります。 国土交通省令和2年度サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)にも採択されており、今後中高層木造建築物を普及させていくためにも、特殊な技術を使うのではなく弊社が従来から使っている手法を採用しました。

ニチハ

あまり実例のない木造の大型マンションということでさまざまな検討をされたかと思いますが、苦労された点を伺えますでしょうか。

木の質感を感じるエントランス

奈留

今回、モクシオンの実現にあたり、技術研究所の英知を注ぎ高強度耐力壁「MOCX wall(モクスウォール)30」と高性能遮音床システム「Mute(ミュート)」を開発しました。 耐力壁はただただ強度が高いというだけでは不十分で、災害時などに壁が一気に壊れるのを防ぐために靭性(粘り強さ)をもたせることが大切です。 モクスウォールを構成する合板材、枠組み材、ビスの強さのバランスを見ながらつくりあげたのがポイントです。
ミュートは、部材の間に吸音のための制振パッドを挟んでいるのですが、その柔らかさを決めるのが難しい点でした。 パッドは柔らかいほど音が伝達しにくいのですが、柔らかすぎると入居者の方が歩きにくいという問題が発生します。 柔らかさと遮音性能のちょうどいい落とし所を突き詰めて実現に至りました。
また、モクシオンは劣化対策等級で最高ランクの3を取得しました。これにより、適切な維持管理を行うと75~90年の耐久性を見込める為、正しく資産価値を評価して頂けるようになります。
上記以外にも、木造の断熱性能の優位性はZEH-Mの取得に有利な為、より多くの方に興味を持って頂いています。

木材活用をベースにした環境配慮が時代の大きなテーマに

ニチハ

お客様の反応はいかがでしたか。

奈留

ありがたいことに多くの反響をいただきました。木の温かみを生かしたデザインのほか、環境に配慮されているという点に興味を持たれるお客様もいらっしゃいました。

ニチハ

環境配慮というのはやはり大きなテーマになっていますね。

夜のエントランスは、よりやわらかな雰囲気に。

奈留

マンションを木造でつくるということは、植林・伐採・製材・建築・解体のリサイクルの輪を通じて、サステナビリティの実現に貢献出来ると思います。

ニチハ

木材がサステナブルな資源であるということがわかりますね。

奈留

木造は、コンクリート造や鉄骨造に比べて建築時のCO2排出量を抑えられ、さらに、建物が存在している間、木材の中にCO2を固定化できるので、環境に優しい構造だと思います。

上質感のある表現&地球温暖化防止が叶うサイディング

ニチハ

メモリアのブラックをメインで使用いただいているかと思います。外壁材の選定理由をお聞かせください。

バルコニー部分のモナビストーンプレミアム パティMGホワイト30とメモリア ブラックの美しいコントラスト

奈留

サイディングで外観を表現したいという目的でメモリアを検討したのですが、大変質感がよく、デザインを具現化できると思い採用いたしました。 バルコニーに使用したモナビストーンプレミアムのホワイトとも相性がよく、白と黒のコントラストがきれいに出ているのではないかと思います。

ニチハ

採用いただいた2種はオフセットサイディングなのですが、こちらについてのご意見もいただけますでしょうか。

奈留

木材チップを使っていて地球温暖化防止に貢献できるというのはモクシオンに即していて、よい選択をしたと感じています。 木造+オフセットサイディングで、環境に配慮できるということをお施主様や世の中にアピールできればと思います。

耐火性能確保の方法を考えることが木造建築物普及のカギになる

ニチハ

今後、中・大規模の木造建築物の普及を進めるために必要なことは何でしょうか。

奈留

木造では、耐火性能を確保するためにクリアすべき項目が多岐にわたっていますので、それに対応するためのやり方の裾野を広げる必要があると感じています。 また、現状だと石膏ボードを二重に張り、外壁にはニチハさんの窯業系サイディングを張って耐火性能を担保しています。 この施工手間を軽減する為に、サイディング自体の耐火性能を高めたり、 もしくはサイディングが石膏ボードの機能を兼ねたりできれば木造の可能性がぐっと高まるのではないかと思います。

ニチハ

ご意見ありがとうございます。このほかに、弊社サイディングについてのご要望などはございますか。

縦のラインと配色が印象的な外観。

奈留

部分的に装飾として木を表しで採用するときに、相性のいいサイディングがあると嬉しいです。具体的には木と木調サイディングを共存させて建物全体の木感が魅力的な仕上がりにできたらと考えています。 本物の木と並んだときに遜色がないような、木の質感を追及したリアルな木調サイディングがあればお客様にもご提案しやすいのではないかと思います。

ニチハ

機能性や意匠性について、より採用いただけるよなクオリティを追及してまいります。貴重なお話やご意見をおお聞かせいただきありがとうございました。