新規ファンの獲得や観光拠点として新たな存在価値を生み出す設計プラン
ニチハ
玉野競輪場のメインスタンド棟とホテル棟「KEIRIN HOTEL 10」を手がけられた経緯を教えていただけますか。
平岡
玉野競輪場が開設されたのは、戦後間もない1950年です。施設の老朽化、耐震性の向上、観戦スタイルの変化といった課題に対応するために再整備が行われることになりました。
ニチハ
ホテル棟は、競輪場の中にある日本初のスタジアム一体型ホテルとして、注目を集めていますよね。
眼前に海が広がり、眼下にバンクが見えるホテル棟・セミスイートルーム。
平岡
ホテルは地上8階建てで、5階より上はテラス付きとなっています。瀬戸内海のオーシャンビューも素晴らしいのですが、部屋からレースを観戦できるというのが魅力です。
ニチハ
従来の競輪場のイメージを変えるような施設になっていますね。
スタンド棟外観
平岡
新たな競輪ファンの獲得に加え、競輪ファン以外の観光客にも来ていただける施設にするという目的があります。 目の前の競輪場で、こんなことをやっているんだと気付いてもらうきっかけになればと思っています。
ニチハ
ホテル棟とスタンド棟では、ニチハのプラスター・モエン外壁耐火構造を用いCOOLをご採用いただきました。当初から、サイディングは想定されていたのでしょうか。
平岡
一般的なALC、ECPなどを候補にあげながら、それらにない外観の表現や、機能などを実現したいという思いがあり、中高層の建築物に適用可能か問い合わせをさせていただいたのが最初ですね。
ニチハ
平岡様はこれまでサイディングをご使用いただいたことはございますか。
平岡
これだけの大規模な施設では初めてでした。サッシやドアとの納まりなどの止水性の確認、また、高層になることによって、許容風圧力計算書に応じて胴縁のピッチやサイズも検証、 メンテナンスの点も踏まえて検討したところ、これらがクリアできると確認できたので、採用への判断材料となりました。
ニチハ
2つの建物の外観デザインは、それぞれに個性がありながらも統一感もありますね。
窓周りにある排煙窓は、外壁の色にあわせたパネルに。
平岡
スタンド棟は、低くて長い施設なので水平線を強調、色彩はブラックとホワイトを主体に陰影が強調されるように、ホテル棟は、スタンド棟と統一感を持たせながら、競輪のエンターテイメント性を表現しました。