2025.03.06
ホームインスペクションとは 注文住宅でも住宅診断は必要? 行うタイミングはいつがベスト?
注文住宅を検討するなら、安心・安全に暮らせる家にしたいですよね。しかし、欠陥住宅かどうかは建築に関する知識がないと、家を内見するだけではわかりません。
そのような買主を助けてくれるのが、ホームインスペクション(住宅診断)です。
今回は、ホームインスペクションについて解説します。安心して家を購入したい方は、ぜひ参考にしてみてください。
注文住宅を建てるまでの流れに関する詳細は、下記記事をご覧ください。
⇒「家を建てる! と決めたらまず何をすべき? 注文住宅を建てるまでの流れを確認」
ホームインスペクション・インスペクター(住宅診断士)とは

●ホームインスペクション(住宅診断)
ホームインスペクションとは、住宅の専門家が第三者的な立場から、住宅の劣化・欠陥などを診断することです。新築住宅の建物品質のほか、中古住宅の寿命や必要なメンテナンスおよびその費用を把握するのに役立ちます。
アメリカでは一般的で、州によって約7割の住宅で実施されています。日本でも2018年の宅地建物取引業法の改正に伴い、建物に関する重要事項説明でインスペクションの説明が義務化されるなど注目を集めています。年々実績を増やしており、特に安心・安全な住宅を購入したいと希望する買主に人気があります。「家は高い買い物なので欠陥住宅は避けたいが、安価な工務店に依頼したので品質に不安がある」といった悩みが動機になっているようです。
注文住宅のホームインスペクションの費用は5〜7万円が一般的で、詳細検査を含めると8〜12万円程度です。欠陥住宅を購入してしまうと様々なトラブルにつながるおそれもあるので不安な場合は多少の費用を掛けてでも専門家に品質を確認してもらうとよいでしょう。
●インスペクター(住宅診断士)
インスペクターとは、屋根や外壁、床下など、住宅全体の劣化状況や欠陥などを専門家の視点で判断し、修繕のタイミングやメンテナンスが必要な部分、そしておおよその費用などを第三者的な立場からアドバイスしてくれる専門家のことです。住宅診断士の資格は国家資格ではありませんが、前述の宅地建物取引業法の改正に伴い需要が増えたため、様々な民間団体が民間資格として認定試験を実施しています。
注文住宅においてホームインスペクションを実施すべきタイミング

本来であれば売主が前もってホームインスペクションを実施しているのがベストですが、家を購入する際に不安を感じている買主が行うケースが多いのが実情です。ここでは、買主が注文住宅でホームインスペクションを実施すべきタイミングをご紹介します。
●新築住宅購入時
施工中や完成時にホームインスペクションを実施するのが一般的です。
【施工中の第三者検査】
施工中は設計図書のとおりに正しく施工されていることを専門家の目で確認します。鉄筋の設置状況や、屋根裏、防水工事の施工状況など、完成後に目視が難しい部分を重点的にチェックします。
施工中の検査項目の例:
・配筋検査
・コンクリートの打設・仕上がり状況の確認
・屋根などの防水工事の施工状況確認
・構造部材(耐力壁、柱や梁の構造金物など)の検査
・天井や壁の断熱材の施工状況確認
【完成検査・内覧会の立ち合い】
完成検査では、第三者の目線で建物の仕上がり状況を確認します。買主が仕上がり状況を確認する内覧会への立ち合いを依頼することも可能です。専門家の目で品質を確認してもらえるだけでなく、買主が気になったことを仲介して建設会社に伝えてもらうこともできます。不具合を伝えるのが苦手な方にとって、頼りになるサービスといえるでしょう。
完成検査・内覧会の検査項目の例:
・建物の傾き
・床下の水たまり
・隠蔽部(屋根裏など)での金物の締め忘れ
・換気扇の空気漏れ
・給排水の水漏れ
・サーモグラフィーによる断熱材の施工漏れ等の確認
●中古住宅購入時
推定される寿命や必要なメンテナンスの内容・頻度・費用などを明らかにします。外壁や屋根は塗装の種類や劣化状況などによって寿命やメンテナンスの頻度・費用が大きく異なるため、ホームインスペクションで今後のメンテナンススケジュールを把握するのは大切なことです。イニシャルコストだけでなくランニングコストも含めて検討し、無理のない快適な暮らしを目指しましょう。
【中古住宅購入時の検査項目の例】
・基礎のひび割れ
・建物の傾き
・床下の不具合
・配管の劣化
・外壁・屋根の劣化
注文住宅におけるホームインスペクションのメリット

最後に、注文住宅でホームインスペクションを実施するメリットをご紹介します。専門家の力を借りて、安心して家を購入しましょう。
●安心・安全に暮らせるようになる
インスペクターに調査してもらうことで、建築に詳しくない買主にはわからない不具合も明らかになります。購入に際して不安なことを伝えておけば可能な限り調査してもらえるため、安心して暮らせるようになるでしょう。
●トラブルを回避できる
家に住み始めてから不具合が明らかになるとトラブルに発展するおそれがあります。解決に時間がかかるケースも多く、工事をやり直すことになると騒音が発生したり、仮住まいが必要になったりするケースもあります。いずれにしても買主の負担になるため、ホームインスペクションで多くのトラブルを回避できることは、大きなメリットといえるでしょう。
●適切なメンテナンスを実施できるようになる
インスペクターは、購入後の家との付き合い方についてもアドバイスしてくれます。住宅の寿命はメンテナンスの実施状況によって大きく異なりますが、一般の方が適切なメンテナンスを実施するのは難しいものです。インスペクターのアドバイスを参考にしながらメンテナンススケジュールを立て、長く快適に暮らせるようにしましょう。
おわりに
インスペクターは第三者的な視点で家の状況を判断してくれるため、買主にとって非常に心強い存在です。ホームインスペクションには多少の費用が掛かりますが、安心して家を購入できると考えれば、多くの方にとって価値のある調査といえるのではないでしょうか。