2025.03.06
カーボン・オフセットとは? 国産木材を使ってニッポンの森を守るオフセットサイディング
地球環境に関する問題が深刻化する現在、「カーボン・オフセット」の重要性が高まっています。そこで、本記事ではカーボン・オフセットのメリットや課題に加え、取り組みの具体的な事例についてもご紹介していきます。建物計画では間伐材や国産材の端材を使った「オフセットサイディング」等の外壁材を使用することもおすすめです。
外壁材の種類についてはこちらの記事もご覧ください。
⇒「外壁材(サイディング)の種類にはどんなものがある? 機能も考慮したおしゃれな外壁材選び」
カーボン・オフセットとは
カーボン・オフセットというのは企業や個人が排出する二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスを他の手段で埋め合わせることを意味する言葉です。
具体的には再生可能エネルギーの導入、森林保全や植林活動、排出権取引などを通じ、「排出量を実質ゼロ」に近づける取り組みを指します。カーボン・オフセットは環境負荷の低減に貢献しつつ、持続可能な社会の実現を目指す手段として、企業や自治体を中心に広がりを見せています。
●カーボン・オフセットの仕組み
カーボン・オフセットの仕組みは企業や個人がCO2排出量の削減努力を行い、それでも削減しきれない分を他の手段で相殺するというものです。
具体的には再生可能エネルギー事業や森林保全、植林活動、排出権の購入などによって同量のCO2で埋め合わせます。主な取引対象としては製品・サービス、会議・イベント、組織活動といった取り組みが挙げられます。
※参考:環境省「J-クレジット制度及びカーボン・オフセットについて」
カーボン・オフセットのメリット

ここでは、カーボン・オフセットに取り組むメリットをご紹介します。
●温室効果ガス削減につながる
カーボン・オフセットがもたらす最大のメリットは、温室効果ガスの削減に貢献できる点です。排出するCO2をオフセットすることにより、実質的に排出量をゼロに近づけ、地球温暖化の進行を抑制するのです。
また、オフセットの過程では再生可能エネルギーの導入や、省エネ対策が促進されるため、さらに社会全体の低炭素化が進みます。加えて国際的なCO2削減目標の達成にも寄与するので、持続可能な環境づくりに貢献するための重要な手段となります。
●森林資源を守れる
カーボン・オフセットに関わる取り組みでは、その一環として森林保全や植林活動が行われることも多く、これが森林資源の保護につながっています。森林はCO2を吸収・固定するという重要な役割を担っているため、適切な管理によって気候変動対策に貢献できるのがメリットです。
また、森林保全は生物多様性の維持や土壌の流出防止、水源の保護など、多面的な環境保全効果をもたらします。さらには地域住民の雇用創出や持続可能な森林経営の推進にもつながるので環境と経済の両立にも大きく貢献します。
●ブランディング効果が期待できる
カーボン・オフセットにおける取り組みで企業や自治体の環境意識の高さを示すことはブランド価値の向上につながります。環境に配慮した経営姿勢は、消費者や投資家の評価を高め、競争力の強化にも寄与します。
特に近年はSDGs(持続可能な開発目標)やESG(環境・社会・ガバナンス)投資への関心が高まっており、環境対策に積極的な企業は市場での評価が向上しやすい傾向にあります。さらには従業員の意識向上や採用面での優位性など、企業の持続的な成長につながるメリットもあります。
カーボン・オフセットの課題・デメリット

ここでは、カーボン・オフセットの課題やデメリットについて整理します。
●CO2の算出方法が不透明な場合がある
カーボン・オフセットの効果を正しく評価するためには、排出されるCO2の量を正確に算出することが不可欠です。しかし、実際には算出方法が不透明な場合があります。
削減効果の検証が不十分だと実際には期待された量が削減されていないということもあるので注意が必要です。
●まだ導入が広がっていない
カーボン・オフセットは環境対策として有効な手段ですが、現時点では広く普及していると言えない状態です。特に中小企業や個人レベルでは、コストや手続きの煩雑さが障壁となり、導入が進みにくい状況となっています。
また、カーボン・オフセットの仕組み自体が十分に理解されていないため、取り組みに対する関心が低いことも課題と言えます。加えて国内外における認証制度の整備が進んでいない地域もあり、統一された基準の確立や普及啓発が求められています。
カーボン・オフセットと似ている言葉

ここでは、カーボン・オフセットと似ている言葉についてまとめてご紹介します。それぞれの違いを整理して取り組みの際に活かしてください。
●「J−クレジット」との違い
J−クレジットは国が運営しているクレジット制度で、CO2削減や吸収の取り組みを「クレジット」として認証して売買できる仕組みです。これは企業や自治体が省エネ設備の導入や再生可能エネルギーの活用、森林保全などで削減・吸収したCO2の量がクレジットとして発行されるもので、購入者はこのクレジットをCO2排出量の相殺に利用できます。
これに対してカーボン・オフセットはJ−クレジットを含む様々な手法でCO2排出を相殺するという概念の違いがあります。つまり、カーボン・オフセットの手段にJ−クレジットが含まれているということです。
※参考:経済産業省「J−クレジット制度」
●「カーボンニュートラル」との違い
カーボンニュートラルは企業や個人、社会全体で排出するCO2の量と、削減・吸収されるCO2の量を均衡させ、実質的にゼロにするという考え方です。
つまり、カーボン・オフセットは特定の活動や事業単位における取り組みであり、カーボンニュートラルはより広範な目標を指す概念ということです。そのため、カーボン・オフセットはカーボンニュートラルを実現させる手段の一つと言えます。
※参考:環境省「カーボンニュートラルとは」
カーボン・オフセットを実現させるための取組 ①事業者向け

ここではカーボン・オフセットに際して「事業者」が実行できる取り組みをご紹介します。比較的大規模な取り組みとなりますが、その分削減効果も高いのが特徴です。
●資源の無駄を減らす
事業者がカーボン・オフセットを実現するには、まず自社のCO2排出量を削減する努力が重要です。そして、その一環として資源の無駄を減らす取り組みが求められます。
具体的には省エネルギー機器の導入、ペーパーレス化、製造工程の最適化による材料の削減などが挙げられます。資源の使用を効率化することで直接的なCO2排出量の削減につながるだけでなく、コスト削減にも貢献できるので持続可能な経営が推進できます。
●間伐材を活用する
間伐材は森林の健全な成長を促すために間引かれる木材で廃棄処理されることが増えています。しかし、これを有効活用すればCO2の固定や森林資源の保全につながるのです。
具体的には建築資材や家具、紙製品、バイオマス燃料等として利用することで、森林の持続可能な管理を支援し、カーボン・オフセットに貢献できます。間伐材の積極的な使用は木材の有効利用を促し、地域の林業活性化にもつながります。オフセットサイディングなどの活用も非常に有効です。
●カーボン・オフセット・プロバイダーを利用する
カーボン・オフセット・プロバイダーというのは、排出量の算定、適切なオフセット手法の提案、クレジットの取得・活用などを支援してくれる事業者のことです。
具体的にはJ−クレジット制度や国際的なカーボンクレジットの手配等をしてくれるので取引がよりスムーズに運びます。プロバイダーを利用すると適正なオフセットが可能となって企業の信頼性向上にもつながります。
※参考:環境省「オフセット・プロバイダーとは」
カーボン・オフセットを実現させるための取組 ②個人向け

ここでは、カーボン・オフセットのために「個人」でできる取り組みをご紹介します。比較的手軽にできる取り組みを実行して、環境負荷軽減に貢献してみましょう。
●木造住宅を選ぶ
木造住宅の選択はカーボン・オフセットに貢献する有効な方法の一つです。木材は生長過程でCO2を吸収・固定する性質があり、木材を使用することで持続可能な森林経営を支援できるからです。
また、鉄筋コンクリート造や鉄骨造に比べ、製造・建築時のCO2排出量が少ないことも木造住宅のメリットです。加えて木材は断熱性が高いうえ、比強度でも優れており、鉄やコンクリートよりも軽い重量で同等の強度を持っています。
●「オフセットサイディング」を使う
「オフセットサイディング」は建築時に排出されるCO2の相殺を目的とした外壁材で、個人がカーボン・オフセットに貢献するための手軽な手段の一つと言えます。
例えば、ニチハの「オフセットサイディング」は100%オフセットクレジット(CO2排出権)付きの国産木材を使用しており、これによって購入代金が森を育てる活動に還元される仕組みとなっています。
この「オフセットサイディング」を住宅の外壁に採用すると、CO2排出を抑えつつ耐久性やデザイン性の高い住宅が実現できます。こちらは環境に配慮した選択として幅広い建築分野で注目されています。
オフセットサイディングのおしゃれな事例
ここでは、オフセットサイディングの実例をご紹介します。環境負荷が小さいことに加えてデザイン性や機能にも優れた製品が数多く登場しています。
●木目意匠の上質なサイディング
「キャスティングウッド」は、長い年月を経た樹木が造り出すダイナミックな迫力とともに、自然の和みも感じさせてくれるデザインが特長です。また、超高耐候塗装により、本物の木板よりも再塗装時期を大幅に延ばします。
●鏡面仕上げでクールな印象に
これまでの常識を覆す内外壁材として注目されている「ミライア」は、窯業系サイディングでは不可能といわれた鏡面仕上げを実現しました。多様な外観演出に対応できるのがメリットです。
また、外壁どうしの継ぎ目が目立ちにくい「四方合いじゃくり」仕様を採用したことで美しい仕上がりとなっています。
オフセットサイディングの採用で申し込めるキャンペーン
「ニチハGLPアクション」を開催中

ニチハでは1956年の創業以来、国産木材の有効利用を図るため、原料に国産木材チップを外壁材に使用してきました。
そして今回、「外壁材(オフセットサイディング)という素材の選択を通じて機能性やデザイン性とともにエシカル(環境に配慮した)な選択にもこだわって欲しい」という想いから「ニチハGLPアクション」を開催しています。お得なチャンスを、ぜひご活用ください!
●ニチハGLPアクションの3ステップ
①ニチハ対象商品「オフセットサイディング」をご採用いただき、元請会社様にグリーンライフポイント発行の旨をお伝えください。
②住宅会社様を通じて「CO2固定量の証明書」を発行し、ご採用面積に応じて「ニチハグリーンライフポイント」を付与します!
(例)延床面積30坪、外壁面積約170m²に使用した場合。CO2を約800kg-CO2固定化→800ポイントを付与。
③100ポイントを1口として最大10万円分のギフトカードが抽選で当たるキャンペーンにご応募いただけます。
詳しくは、ニチハGLPアクション特設サイトをご確認ください。
https://www.nichiha.co.jp/GLP/
まとめ
カーボン・オフセットの実行はCO2排出量削減の貢献につながります。一般的には事業者が行う大規模な取り組みのイメージがありますが、個人の方でも参加できる場合があります。ニチハの「オフセットサイディング」を導入すれば国産材の端材や間伐材の有効活用や環境負荷低減に貢献できるため、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。