2025.05.12
家を建てるまでの流れが知りたい! 年収や頭金はどれぐらい必要? 注文住宅の基礎知識
家を建てる!と決めても一体何から始めて、どのように進めればよいのか悩む人は少なくないでしょう。この記事ではスムーズな理想のマイホームづくりをするために、注文住宅を建てるまでの流れを7つのステップで解説していきます。
家を買うタイミングに関しては下記記事もご参照ください。 ⇒「家を買うタイミングはいつが良い? 家づくりで後悔しない、注文住宅の知っ得情報」
長期優良住宅にご興味がある方は下記記事もご参照ください。 ⇒「長期優良住宅とは? そのメリット・デメリットと、申請から認定通知書発行まで」
注文住宅とは
注文住宅はオーダーメイドで建てる新築住宅です。業者を選んでから間取りや内装、設備、外観などを決めていくので、自由度の高い家をつくることが可能です。しかし、家が完成するまでには多くのステップや注意点があります。
ステップ1:情報を収集して理想の暮らしをイメージする

●どんな家に暮らしたい?
初めての家づくりはわからないことばかり。まずは自分たちの暮らしをイメージすることから始めてみませんか? インターネット(SNS・企業サイト・動画サイトなど)や雑誌をチェックして、住みたい場所や家の外観・インテリアなどの画像を集めるのもよいでしょう。「吹き抜けが欲しい」「趣味の部屋や書斎が欲しい」など、これだけは譲れないという条件を洗い出して優先順位をつけると、打ち合わせもスムーズに進むでしょう。
●家族でじっくり話し合う
家づくりは家族全員が幸せに暮らせるからこそ「理想」と言えるのではないでしょうか。自分の思いだけでなく家族がそれぞれどんなことを考えているかも重要です。
例えば、自分の仕事だけでなく、パートナーがどんなキャリアを思い描いているか? 子供についてどう考えているのか? 将来、親と同居してサポートをしていくのか? どんな趣味があり、どんなライフスタイルを思い描いているのか?など、家族全員が納得いくまで話し合いましょう。
●モデルハウスや住宅展示場を見学してみよう
家族が納得できる家のイメージがある程度固まれば、モデルハウスや住宅展示場に足を運んで、実際に建物を見ながら自分たちのイメージを落とし込んでみましょう。デザインのテーマや建物の外観、実際の間取りや設備などを直接確認することで、イメージがより明確になっていくでしょう。
●住みたいエリアの環境をよく調べよう

「どこに住むのか」は、長く暮らしていく上でとても重要なポイントです。住まいのエリアを検討する際は、その地域の建築条件や、周辺の環境をチェックすることが大切です。具体的には通勤・通学のしやすさ、買い物に便利なスーパーや商店街、医療機関までの距離、どのような災害リスクがあるかなどについて調べましょう。小さなお子様がいる場合は安全に遊べる公園や図書館が徒歩圏内にあると便利です。
周囲の環境の情報収集に関しては下記記事もご参照ください。 ⇒「家を建てる前に周辺環境の情報収集を! 生活に必要な施設までの距離や治安面は?」
防火地域や準防火地域については下記の記事をご覧ください。
⇒「防火地域や準防火地域とは?防耐火性能を備えた外壁材の種類など 家を建てる際に知っておくべきこと」
ステップ2:しっかりとした資金計画を立てる

理想の住まいがイメージできたら、次は資金面について考えましょう。家づくりでは様々な費用が発生します。
【家づくりにかかる費用】 1軒の家を建てる時に必要なお金は、土地の購入費と建物の建築費以外にも様々な費用が発生いたします。余裕を持った資金計画を立て、無理のない家づくりを目指しましょう。また、住宅ローンに組み入れられる費用と、そうでない費用がありますので、この点についても留意しておく必要があります。
□住宅ローンに組み入れられるもの 建築に直接関係する費用や、ローンに付随する費用は、ほとんど組み込めます。
・建物の建築費 :工務店・ハウスメーカーへの建築費用(本体工事費)
・建物の付帯工事費 :電気・ガス・給排水工事、外構、地盤改良、照明・カーテンなどの一部
・設計・監理費 :建築士への設計料・監理料(設計事務所と契約した場合など)
・土地の購入費 :建物とセットでローンを組む場合は土地代もOK(つなぎ融資を使うことも)
・地盤改良費 :(土地によっては地盤の改良が必要になることもあります)
・登記関連費用 :表示・保存・抵当権設定登記など(銀行により)
・火災保険料 :ローンの契約時に加入する火災・地震保険(ローンの条件にもなる)・ローン手数料・融資事務手数料・保証料など
□住宅ローンに組み入れられないもの 新しい家で生活がスタートした後の費用や、慣習的な費用は住宅ローンに含まれないことが多いでしょう。
・引っ越し費用 :家が完成した後の費用なので対象外
・家具・家電購入費 :ソファ、テレビ、冷蔵庫などは「生活用品」なので対象外
・仮住まい・賃貸の家賃 :建替えや住み替えで一時的に借りる住居の費用
・地鎮祭・上棟式の費用 :神主さんへのお礼や儀式関係の費用
・不動産取得税・固定資産税 :購入後にかかる税金(ローン対象外)
・仲介手数料(条件による) :土地を不動産会社経由で買った場合など、一部銀行で対象外
家を建てる費用に関しては下記記事もご参照ください。 ⇒「家を建てる時にかかる費用はどれぐらい? 注文住宅は土地あり、なしでどのぐらい違う?」
●家を建てる人の平均年収はどれぐらい?

資金計画やローンの審査をする際の重要な要素の一つに「年収」があります。国土交通省の住宅市場動向調査によると、令和5年度に住宅を取得した世帯の年収は、注文住宅の場合で平均915万円、3大都市圏に限って言えば989万円です。 年収がそれより低い人は家が買えないというわけではありませんが、住宅の価格はウッドショックや人件費の高騰もあって年々高くなっていますので、予算を立てる際は頭に入れておきましょう。
●頭金はどれぐらい必要?
同じく国土交通省の住宅市場動向調査によると、令和5年度に初めて家を購入した「一次取得者」の購入資金は全国平均で5,527万円。うち自己資金(頭金)は1,080万円だそうです。住宅購入時の頭金は一般的に10〜20%と言われています 。
●住宅ローンの種類が知りたい

住宅ローンにもいろいろな種類があります。大きく分けて「全期間金利固定型」「固定金利期間選択型」「変動型」ローンの3つがあります。
・全期間金利固定型
借入時の金利が返済期間中に変わらないローンです。代表的なものには「フラット35」があります。国の機関である住宅金融支援機構と、民間金融機関の提携によるもので、現状で金利は変動型に比べて高めですが、金利がずっと一定であることの安心感があり、審査にも通りやすいと言われています。フラット35では融資率によって年1.840〜3.560%の範囲で変動し、最も多い金利は融資率が9割以下の場合が年1.840%、9割超の場合が年1.950%となります。
省エネルギー性や耐震性など、一定の基準を満たす住宅に対して、一定期間金利が引き下げられる「フラット35S」や、地方公共団体と連携し、特定の条件を満たす場合に金利が引き下げられる「フラット35地域連携型」、長期優良住宅を取得する時に使えて期間が50年の「フラット50」もあります。これ以外に金融機関独自の商品もあります。
・固定金利期間選択型
ローンを返済する最初の5年、10年と任意の期間で金利が固定され、固定期間が終わった後に変動金利または再度固定金利を選べる住宅ローンです。まだ収入が低い若年時は月々の支払いが安定しているので、初期の返済計画が立てやすいのが特徴です。ただし、固定金利期間中の金利はフラット35と同程度か、それよりも低い場合もありますが、固定金利期間終了後の変動金利期間では、場合によって金利が上昇する可能性があります。
・変動金利型
全期間の金利が市場の動向などによって変動するタイプの住宅ローンです。金利の見直しが年に2回行われ、それにより月々の返済額が変動します。しかし、現状ではフラット35に比べて金利が低く、金融機関によりますが年利0.6%以下の商品が多く、費用などを含めた実質金利も約0.6〜0.9%となっているようです 。日銀による金融政策の変更で金利は上昇傾向にあり、今後は住宅ローンの金利も上がることが予想されます。しかし、国土交通省が発表した令和7年度の資料によると、令和5年度の新規住宅ローンの84.3%が変動金利型だそうです。
住宅ローンにはそれぞれメリット・デメリットがありますので、よく見極めることが大切です。
●無理のない返済プランを立てることが大事
返済プランは家づくり全体にかかる費用を踏まえた上で立てましょう。年収に基づいた住宅ローンの返済可能総額や、毎月どれだけの額を返済していくのかシミュレートして、無理のない返済計画を立てることが大切です。借入金額は可能な限り増やしたくなるものですが、住み始めてからの暮らしを圧迫しないように、返済できる額を基本に計画するのが重要なポイントです。ローンの試算は銀行のホームページなどでもできます。
資金計画書に関しては下記記事もご参照ください。 ⇒「資金計画書とは? 家を建てるための資金計画と住宅ローンの検討」
ステップ3:土地探しをスタート・家づくりの依頼先を選択
予算が決まったら希望に合う土地探しのスタートです。土地を持っていない場合は、住宅会社や不動産会社に相談して、希望する条件に合う土地を探します。設計事務所や建築会社など、家づくりの依頼先も探し始めましょう。
●土地探しと住宅会社選びは同時に行う
土地探しと住宅会社選びは同時に行うか、住宅会社の選定を先に行うのがおすすめです。先に土地を購入すると建ぺい率や容積率、高さ制限などの様々な制約によって、理想の家を建てられない可能性があるからです。また、家に充てる予算が限られてしまう場合もあります。土地と建物をセットで購入すれば、それらの合計額で家づくりが進められます。
土地探しのポイントについては下記の記事をご覧ください。
⇒「土地探しのコツを知りたい! 理想の注文住宅を目指すための探し方と注意点」
●ハザードマップで災害リスクを確認する

良さそうな土地が見つかっても周辺環境や立地、価格だけで決めてしまうのは早計です。お目当ての土地が見つかったら、その土地が災害に強いかどうか、国や自治体が公表しているハザードマップで確認してみましょう。「ハザードマップポータルサイト」では洪水、土砂災害、津波、高潮などの危険性を調べることができます。また、自治体によっては地震災害時の揺れやすさや液状化の危険、避難施設などが記載されたマップを公開しています。
●住宅会社を決める際はじっくりと比較検討
家づくりを依頼する住宅会社や設計事務所は、インターネットでホームページをチェックしたり、実際にモデルハウスを見学したりして探します。資料を請求してみるのもよいでしょう。見積もりをとる際は比較検討できるように、数社をピックアップしましょう。住宅ローンの事前審査に申し込むのもこのタイミングです。
ハウスメーカー・工務店については下記の記事をご覧ください。
⇒「注文住宅のハウスメーカー・工務店とは 住宅会社選びの際に確認したいポイント」
ステップ4:間取りの設計と見積もり依頼をする

いよいよ理想の家づくりが具体化していきます。設計事務所や建設会社に予算や住まいの要望を伝えて、簡単なプランと見積もりの作成を依頼しましょう。この段階で複数の会社に声をかけ「相見積もり」を取るのもよいでしょう。各社から提示された仕様や図面、見積もりなどをチェックして、希望が盛り込まれているか、諸経費に何が含まれているのか確認します。
●住宅会社を1社に絞って正式に契約する
設計や見積もり内容・金額に納得できる会社を選び、工事請負に関する正式な契約を結びます。契約後は追加費用がかからないように内容をしっかり確認し、不明な点があれば質問しましょう。このタイミングで住宅ローンの本審査に申し込みます。住宅ローンを組む場合は固定金利にするのか、定期的な見直しがある変動金利と組み合わせ、金利上昇のリスクを分散させるのかなど、家計に合った無理のない返済プランを入念に検討することが大切です。
住宅ローンについては下記の記事をご覧ください。
⇒「住宅ローンとは? その仕組みや種類、控除のポイントなどを知りたい!」
ステップ5: 間取りの詳細や設備などの仕様を決める

間取りの詳細なプランや設備、インテリアや外観など、細かい部分を決めていきます。思い描いていた理想の家がカタチになっていくのを実感できる楽しい時間です。内装はもちろんのこと、外壁は家の第一印象を左右する大事な部分なので、色や素材、質感などにこだわれば住まいの満足度も上がります。
●間取りを決める
まずは、家の間取りを決めていきます。自分たちで必要な
部屋などを書き出して簡単な間取り図を作る方法もあれば、設計担当者と打ち合わせをして提案をしてもらう方法などもあります。大切なのは営業担当者や設計担当者との相性とコミュニケーション。要望をきちんと伝えましょう。また、担当者が家族構成などをヒアリングして適切な提案をしてくれるケースもあります。
間取りの決め方については下記の記事をご覧ください。
⇒「家を建てる際の間取りはどう決めたらいい? まずはゾーニングで理想の空間をシミュレーション」
狭小住宅の間取りに関しては下記記事もご参照ください。 ⇒「おしゃれな狭小住宅の間取りアイデア 二階建てと三階建てそれぞれのメリット・デメリット」
平屋建てついての詳細は下記の記事をご覧ください。
⇒「平屋建ての新築が人気上昇中! その秘密とメリットに迫る おしゃれな平屋の外観もチェック!!」
●設備を決める
おおまかな間取りが決まったら次は設備です。この段階でどんな外観の家にするか、外構はどうするか、キッチンや水回りの設備はどうするかなどを細かく検討していきます。
住宅設備選びのポイントについては下記の記事をご覧ください。
⇒「住宅設備のおすすめはこれ! あるとうれしいもの・注意したいポイント」
外壁材(サイディング)の種類に関しては下記記事もご参照ください。 ⇒「外壁材(サイディング)の種類にはどんなものがある? 機能も考慮したおしゃれな外壁材選び」
●後悔しないためのポイント
この段階で意外と見落としがちなのが、コンセントの位置や収納のスペースです。一般的にはこの部屋にはこの数のコンセント、などという定番的なものがありますが、例えばキッチン家電をいろいろ使いたい方や、書斎にパソコンを置いてリモートワークをする方などは、コンセントもたくさん必要な場合があります。また、屋外に水道設備やコンセントがあるととても便利ですし、EVに乗ろうと思う方なら外部充電設備が必要です。収納についてもどれ位の容量が必要か、対象となる家財をリストアップしてみることがおすすめです。最初のプランでは物が入りきらないというケースも多いそうです。
注文住宅におけるコンセントの配置についての詳細は下記の記事をご覧ください。
⇒「コンセントの位置を徹底確認! 注文住宅を建てる前に知りたい あると便利な屋外コンセントも」
ステップ6:着工する

ついにマイホームの工事が始まります。着工前にはご近所づきあいのことも考えて近隣に挨拶まわりを行いましょう。挨拶まわりは住宅会社に任せることもできます。なお、着工前には希望に応じて安全祈願の地鎮祭、基本構造の骨組み完成後には上棟式を行うこともできます。
また、現場作業の邪魔にならない範囲で、定期的に建築中の現場を見に行くのもよいでしょう。打ち合わせ通りに工事が行われているか確認ができますし、何よりも自分の家ができあがっていく過程を見ることで、家に対する愛着もより大きくなります。現場に行く際は事前に連絡をしましょう。また、現場の職人さんにお茶などを差し入れすれば、その心配りに現場の方の士気も上がることと思います。
建築途中や完成後に住宅診断士による検査「ホームインスペクション」を受け、設計図書通りに建物が建てられているか確認するのも大切です。
着工についての詳細は下記の記事をご覧ください。
⇒「注文住宅は着工後にほったらかしはダメ? 現場での立ち居振る舞い、各種手続きなど着工から完成までにやること」
地鎮祭についての詳細は下記の記事をご覧ください。
⇒「家づくりの際に行う地鎮祭とはどういうもの? 服装など事前に知っておくべきこと」
上棟式・棟上げについての詳細は下記の記事をご覧ください。
⇒「上棟式・棟上げとは何をするもの? 大工さんへのお礼としてご祝儀や手土産は必要?」
ホームインスペクションに関する詳細は下記記事をご覧ください。
⇒「ホームインスペクションとは 注文住宅でも住宅診断は必要? 行うタイミングはいつがベスト?」
ステップ7:竣工・引き渡しをする
待ちに待ったマイホームの完成です!完成後は公的機関による完了検査を受けることになります。建築確認申請の通りに建てられていることが確認されると検査済証が交付されます。施主が立ち会って設備などに不具合がないかなど、最終チェックを行って問題がなければ引き渡しとなります。
竣工検査で行うべきチェックリストについての詳細は、下記記事をご覧ください。
⇒「注文住宅がついに竣工! 知っておきたい、竣工検査で施主が行うべきチェックポイントは?」
入居の希望時期から逆算して計画を
注文住宅は情報収集のスタートから完成までに平均1年〜1年半かかります。万が一、途中で項目が変更されたり、打ち合わせが思うように進まなかったりすると、期間が延びることもあります。注文住宅による家づくりをスムーズに進めるためにも、家づくりの流れを把握して入居の希望時期から逆算し、余裕をもったスケジュールを立てて理想の家を完成させましょう。
注文住宅の失敗例を参考にした後悔しな家づくりに関しては下記記事もご参照ください。 ⇒「注文住宅での失敗例を参考に! 家を建てる際に後悔しない間取り・家づくり」