2025.03.17

軒天とは? 意外と知らない住宅の重要部分の役割 外壁とのトータルコーディネートでおしゃれに!

屋根の裏側部分にある「軒天」には、延焼防止等の重要な役割があります。しかし外観デザインにも影響を与えるため、見た目のおしゃれさもポイントです。
そこで本記事では軒天の基本的な情報を整理した上で、おすすめの色の選び方や建築事例についてご紹介します。

屋根の形状に関する詳細は、下記記事をご覧ください。
⇒「ファサードには屋根の形状が大きく影響! 陸屋根、片流れ屋根等どれを選ぶ?

注文住宅を建てるまでの流れに関する詳細は、下記記事をご覧ください。
⇒「家を建てる! と決めたらまず何をすべき? 注文住宅を建てるまでの流れを確認

軒天(読み方:のきてん)とは

軒 天 と は

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軒天(のきてん)とは、軒の裏側に取り付けられる仕上げ材のことを指します。建物の屋根から外壁を超えて張り出した部分で、「軒裏」と呼ばれることもあります。

軒の裏側を覆うことで建物の美観を保つだけでなく、雨風やほこり、鳥や虫の侵入を防ぐのも主な役割です。素材には金属、不燃材(ケイカル板、スラグせっこう板など)、木材、モルタルなどが使用され、建物の種類や用途によって耐久性や防火性能等に優れた素材が選ばれるのが一般的です。

また軒天は通気性が求められるため、通気口が設けられる場合もあります。軒天を設置することで建物全体のデザイン性を高めるとともに、屋根裏の湿気を適切に排出する役割も担っています。

軒天の主な役割・機能

軒 天 と は

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ここでは、軒天の主な役割や機能についてご紹介します。

●防火・火災発生時の延焼防止
建物が密集している地域では、隣家で火災が発生した際に、軒天にも炎が燃え移るリスクがあります。そのためケイカル板や金属製など、不燃性や耐火性に優れた素材が選ばれます。これにより建物全体の耐火性能が向上し、災害時の被害を最小限に抑えることが可能です。

ただし防火仕様は法律や地域の規制に基づいて選定する必要があるため、新築やリフォーム時にはメーカーや施工業者に確認するようにしましょう。

●外壁の劣化防止
軒天は屋根から流れる雨水が外壁に直接当たるのを防ぎ、外壁の劣化を抑える重要な役割を担っています。特に雨風が強い地域では、外壁が水分を吸収することで発生する剥がれや腐食、カビの発生を防止できるのがメリットです。

また、太陽光による外壁の色褪せや劣化を軽減する効果もあります。軒天があることで建物の耐久性が向上し、長期的なメンテナンス費用の削減にも貢献します。

●外観のデザイン性向上
軒天は、建物の外観デザインを引き締める要素としても重要です。素材や色、仕上げの種類を工夫することで、建物全体がより洗練された印象になります。

具体的には木目調や塗装仕上げなど、デザイン性を重視した選択肢が豊富に揃っています。軒天の色を外壁や屋根の色と調和させることで、統一感のある外観にコーディネートしましょう。

●屋根裏の換気
適切な換気は、建物の耐久性や居住性を保つ上で重要です。軒天には通気口が設けられることが多く、これにより屋根裏の換気が促進できるのがメリットです。

換気によって屋根裏にこもる湿気を排出し、結露やカビの発生を防止します。また夏場の屋根裏の高温を抑える効果もあり、室内の温度上昇を軽減してエアコンの効率を向上できる場合もあります。

軒天におすすめの色|外壁とコーディネートするおしゃれな建築事例

ここでは、軒天におすすめの色について具体的な建築事例をご紹介します。外壁と合わせてコーディネートすることで、おしゃれな外観に仕上げましょう。

●白

軒 天 と は

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白い軒天は清潔感があり、建物全体を明るく見せる色として人気があります。特にシンプルモダンな住宅や北欧風デザインに適しており、外壁や屋根の色を選ばずに馴染みやすいのが特徴です。

●グレー

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グレーは落ち着きと高級感を与える色で、シックモダンやインダストリアルデザインの外観に最適です。外壁や屋根が白や黒の場合にも、中間色としてバランスを取る役割を果たします。

●ベージュ

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ベージュは暖かみがあり、ナチュラルやカントリースタイルの住宅にぴったりの色です。外壁や周囲の植栽と調和しやすく、優しい印象を与えます。また、汚れが目立ちにくい点もメリットです。

●木目

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木目調の軒天は自然のぬくもりを感じさせ、和風やモダンデザインの住宅に適しています。建物周辺に植栽がある場合、自然との一体感でよりおしゃれな印象に仕上がります。

ただし本物の木材を使用する場合は、定期的なメンテナンスが必要です。お手入れの手間を減らすには、不燃材等でできた木目柄パネルを使用する方法があります。こちらは本物の木材のようなデザインでありながら、耐久性に優れておりメンテナンスが簡単です。

●黒

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黒はスタイリッシュでモダンな印象を与える色で、外壁が白やグレーの住宅にアクセントとして使用されます。全体のデザインバランスを意識することで、おしゃれな外観に仕上がります。

ただし高級感を演出できる一方で、ホコリやクモの巣等の汚れが目立ちやすい点には注意しましょう。また暗い印象になってしまう場合もあるため、家のデザインに応じて部分的にアクセントとして使用するのもおすすめです。

軒天の素材の種類

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ここでは、軒天の素材の種類についてご紹介します。主な素材を知っておくことで、ご自宅に合ったタイプを選んでみてください。

●金属
金属製の軒天では、主にアルミやアルミ亜鉛合金めっきなどの鋼板製品などが使用されます。耐久性や耐食性に優れていてサビに強く、長期間メンテナンスの手間を抑えられるのが特徴です。また、金属ならではのスタイリッシュなデザイン性がモダンな建物に適しています。

一方で劣化を防ぐには、塗装や錆止め塗料による適切なメンテナンスが求められます。また価格が比較的高いため、一般的には公共施設や店舗等で導入されることが多いです。

●不燃材(ケイカル板、スラグせっこう板など)
不燃材は火災対策に優れている素材で、ケイカル板やスラグせっこう板が使用されるのが一般的です。耐火性能が高く耐久性にも優れているため、軒天素材として多く採用されています。価格も比較的リーズナブルで、表面の塗装次第でさまざまなデザインに対応できる点もメリットです。

●木材
木材は自然なぬくもりのある素材で、築年数の古い住宅で採用されているケースが多いです。一般的にはベニヤ板に塗装する形で仕上げられており、価格が安いのが特徴です。

ただし木材は、湿気やシロアリによる劣化のリスクがあります。そのため、防腐処理や定期的なメンテナンスが必要です。また防火性が低い点がデメリットで、地域によっては使用が制限される場合があります。

●モルタル
モルタルはセメントに砂等を混ぜた素材で、耐久性や耐火性に優れています。外壁がモルタル仕上げの場合に、軒天も合わせて施工されていることが多いです。しっかりとした施工により、長持ちする軒天となるのがメリットです。

一方でひび割れや経年劣化による剥がれが発生しやすく、定期的な補修や再塗装が求められます。また施工には職人の技術が求められるため、コストが高くなる場合があります。

軒天でよくある疑問|失敗しない方法とは

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ここでは、軒天についてよくある疑問についてご紹介します。新築やリフォームでの失敗を防ぐために、ぜひチェックしてみてください。

●木板の軒天は腐食が起こる?
木材は湿気や水分に弱く、特に軒天が雨や湿気にさらされる環境では腐食が起こりやすいです。これに伴い、シロアリ被害やカビの発生も懸念されます。

これを防ぐには、防腐処理や撥水塗装を施すことが重要です。また木目調印刷が施された不燃材の軒天にする方法も、腐食のリスクを軽減できます。

●軒天の構造を「準耐火」にする必要はある?
準耐火構造が必要かどうかは、建物の用途や地域の防火指定区域の条件によります。例えば都市部や密集地では、準耐火構造が義務付けられている場合があります。この場合、ケイカル板やスラグせっこう板などの不燃材を使用するのが一般的です。

事前に施工業者や専門家に相談し、建築基準法や地域の規制を確認することで適切な材料を選びましょう。

●リフォーム・メンテナンスの目安
軒天のリフォームやメンテナンスは、一般的に10〜15年を目安に検討すると良いでしょう。ただしひび割れや剥がれ、汚れの蓄積が見られる場合は早めの対応が必要です。

木材の場合は腐食の有無を定期的にチェックし、不燃材では塗装の剥がれや接合部分の劣化がないか確認します。また汚れやクモの巣が溜まりやすい箇所は定期的な清掃を心がけ、長持ちさせる工夫を行いましょう。

まとめ

軒天は普段目につきにくい場所ですが、外観の印象を左右することもあり重要です。最近では、木目柄のおしゃれな軒天でコーディネートする方法も人気となっています。本記事でご紹介したおしゃれな事例を参考に、ぜひご自宅の外観計画に活かしてみてください。

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