2026.04.30

住宅性能評価書と住宅性能表示制度での評価項目とは? 改正で一次エネルギー消費量等級7・8新設!

「住宅性能評価書」は住宅ローンを組んだり、助成金や税制優遇を申請したりするときに提出を求められる重要な書類です。2025年12月1日施行の改正により、一次エネルギーの消費量等級に「等級7」「等級8」が新設され、省エネ性能を評価する基準も進化しました。
本記事では、住宅性能評価書の概要や取得によるメリット、さらには住宅性能表示制度で評価される項目、そして最新の改正内容について詳しく解説していきます。

注文住宅を建てるまでの流れに関する詳細は、下記記事をご覧ください。
⇒「家を建てるまでの流れが知りたい! 年収や頭金はどれぐらい必要? 注文住宅の基礎知識

住宅性能評価書とは

まずは住宅性能評価書の概要を解説します。

●「住宅性能表示制度」に基づく評価

住宅性能評価書とは、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づき、住宅の性能を評価するための書類です。評価の基準は国によって定められており、それに基づいて第三者機関が評価します。住宅の品質や安全性、快適性、環境性能など、さまざまな側面においてどの程度の性能を備えているか共通の基準で証明します。

●住宅性能評価書は2種類

住宅性能評価書には、2つの種類があります。

・設計住宅性能評価書
設計段階で住宅がどのように作られるのか、設計図面や仕様書を基に評価されます。住宅性能表示制度に基づき、設計がどのように性能基準を満たしているのか、どの等級に該当するのか評価されます。書類には住宅の耐震性や省エネルギー性など、10分野にわたる評価が記載されます。

・建設住宅性能評価書
住宅が設計通りの性能基準を満たす施工になっているかどうかを評価する書類です。耐震性や省エネルギー性能、劣化対策などを第三者機関がチェックし、住宅が完成した後に発行されます。

評価を取得すると住宅の品質や安全性が客観的に証明できるほか、住宅ローンの金利優遇や保険の割引などを受けられる場合もあります。

参考:国土交通省「新築住宅の住宅性能表示制度 住宅性能表示制度ガイド

●長期優良住宅との違いは?

住宅の評価基準には「長期優良住宅」もあります。長期間にわたって使用する住宅の耐久性や維持管理のしやすさ、省エネルギー性などが第三者機関によって評価され、これを受けた所管行政庁が認定します。長期優良住宅の認定を受けることが必須の税制優遇や補助金制度もあります。

住宅性能評価書は住宅の性能を評価・表示するものであり、評価・確認は第三者機関が行います。以前は、第三者機関に評価を受けるのと並行し、書類を別に用意して「長期優良住宅」であることを所轄行政庁に認定してもらう必要がありました。しかし、現在は長期使用構造等の基準に適合していることを住宅性能評価書に記載できるようになりました。
煩雑だった技術的な審査が一本化されて手続きの一部がスムーズになりました。

省エネ住宅や長期優良住宅に関しての詳細は、下記記事をご覧ください。
⇒「省エネ住宅とは 省エネ基準ってなに? メリット・デメリットも紹介
⇒「長期優良住宅とは? 新設のGX志向型住宅やZEHとの違いとメリット・デメリット

住宅性能評価書を取得するメリット

住宅性能評価書を取得するとどんなメリットがあるのでしょうか。

●住宅の性能が保証されるので安心

住宅性能評価書は住宅の性能を第三者機関が客観的に評価する証明書です。これによって耐震性や省エネルギー性など、住宅の安全性や性能が担保されます。

評価は第三者によるものなので、施工ミスや不具合のリスクが減り、購入者や居住者にも信頼されます。品質に対する安心感が得られ、万が一のトラブルにも確かな基準による対応が可能です。

●住宅ローン・地震保険等で有利になる

住宅性能評価書を取得した住宅は、住宅ローンや地震保険の契約をする際、条件が有利になる場合があります。

これは長期的なコスト削減につながります。ただし、実際の金利は金融商品によって異なるので契約前に確認しましょう。

住宅ローンや資金計画に関しての詳細は、下記記事をご覧ください。
⇒「住宅ローンとは? その仕組みや種類、控除のポイントなどを知りたい!
⇒「資金計画書とは? 家を建てるための資金計画と住宅ローンの検討

●税制上のメリットが大きい

父母・祖父母などの直系尊属から受ける住宅取得資金の贈与について、住宅性能評価書の交付された住宅を取得する場合は、贈与税の非課税限度額が増加します。一般住宅の非課税枠が500万円であるのに対し、省エネ性能(断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上)・耐震性能・バリアフリー性能のいずれかを満たす「質の高い住宅(省エネ等住宅)」は1,000万円です。
ただし、この制度における適用期限は2026(令和8)年12月31日までとされています。実際に利用する際は国税庁や国土交通省のサイトで最新情報をご確認ください。

また、長期優良住宅の認定を受けていると、固定資産税の減額期間の延長、住宅ローン減税における借入限度額の優遇、登録免許税の軽減、不動産取得税の控除拡大など、さまざまなメリットがあります。

参考:国土交通省「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置

●資産価値の向上につながる

第三者機関による性能評価は、将来的に住宅を売却する際、有利に働く場合があります。特に耐震性や省エネルギー性能に優れていると評価された住宅は、魅力的な要素を備えているので取引価格が維持しやすくなります。

●トラブルの発生時に紛争処理機関を利用できる

建設住宅性能評価書を取得した住宅は、万が一トラブルが発生してしまった時に、紛争処理機関を利用できます。評価基準に基づいて住宅の性能や施工状況を調査し、第三者の立場で解決策を提案してもらえるメリットがあります。また、申請手数料も1件あたり1万円と低額に抑えられており、裁判という手段をとらずに公正かつ迅速に問題解決を図れるため、トラブルに巻き込まれた住まい手の大きな安心材料になります。

住宅性能表示制度で評価されることは?

住宅性能は新築の場合、10分野33項目で評価され、住宅性能評価書に記載されます。

①構造の安定に関すること(耐震・耐風・耐積雪等級について)

地震や風、雪などの自然災害に対する住宅の耐久性です。耐震等級、耐風等級、耐積雪等級に加え、地盤や基礎の構造も評価されます。

②火災時の安全に関すること(耐火等級・延焼防止性能について)

耐火等級や延焼防止性能に関する評価です。耐火等級や延焼の防止対策等を評価します。

③劣化の軽減に関すること(劣化対策等級)

住宅が時間とともに受ける劣化や、腐食に対する方策を評価します。耐久性を高めるために使用される建材や工法が基準を満たしているか確認し、長期間にわたって品質を保つための設計が施されているかを評価します。

④維持管理・更新への配慮に関すること(維持管理等級について)

住宅の維持・管理が容易かどうかを示します。設備の点検や交換が簡単な設計かどうかや清掃がしやすいかなど、住宅を快適かつ長期的に維持できる工夫に対して評価するのが特徴です。適切な維持管理によって住宅の劣化を防ぐことで居住者の負担を軽減します。

⑤温熱環境に関すること(断熱性能等級・一次エネルギー消費量等級について)

この分野では、住宅の断熱性能と省エネ性能を、2つの項目で評価します。

断熱等性能等級は屋根・外壁・窓など、住宅の外まわりがどれだけ熱を逃がしにくいか示す等級で、現在は1〜7の7段階に分かれています。

一次エネルギー消費量等級は冷暖房・換気・照明・給湯など、家全体で使うエネルギー量の少なさを示す等級で、2025年12月の改正によって1〜8の8段階となりました。

どちらも数字が大きいほど性能が高いことを表す評価となっていて、断熱等性能等級5と一次エネルギー消費量等級6の両方を満たすものが、「ZEH水準」の住宅に当たります。

⑥空気環境に関すること(ホルムアルデヒド対策・換気設備について)

ホルムアルデヒドをはじめとする化学物質への対策や換気設備に関する項目です。ホルムアルデヒドはシックハウス症候群の原因となる有害な化学物質のことで、その発散量の少ない建材(日本産業規格または日本農林規格のF☆☆☆☆等級など)が住宅に適切に使われているかを評価します。あわせて、室内の空気を清浄に保つための24時間換気など、換気設備が適切に設置されているどうかなどについても確認します。

⑦光・視環境に関すること(採光性能・照明環境について)

光・視環境の評価は採光性能と照明環境に関する項目となります。自然光が十分に取り入れられる状態になっているかを確認します。

⑧音環境に関すること

外部からの騒音対策に加えて内部の遮音性、床の衝撃音対策について評価します。具体的には外部の騒音(自動車や電車などの走行音)を遮る設計、部屋からの音漏れを防ぐために施す壁や床の工夫、マンションなどでは特に重要な、床の衝撃音対策などです。

⑨高齢者等への配慮に関すること

高齢者等に配慮したバリアフリー設計に対しての評価です。段差の有無や手すりの設置、さらには通路の広さなどが、基準を満たしているか確認し、生活しやすい環境を提供します。

⑩防犯に関すること

「防犯性能の高い建物部品目録」に掲載・公表されていることを表す「CPマーク(Crime Preventionマーク)」付き建材が使われているかを評価します。

●2025年12月1日の改正による一次エネルギー消費量等級7・8の新設

住宅性能表示制度は2025年12月1日に改正法が施行され、一次エネルギー消費量等級に「等級7」「等級8」が新たな最上位等級として加わりました。

・断熱等性能等級と一次エネルギー消費量等級の違い
混同しがちな「断熱等性能等級」と、「一次エネルギー消費量等級」ですが、評価しているものがそれぞれに大きく異なります。

断熱等性能等級は屋根・外壁・床・窓など、住宅の外まわり(外皮)から、どれだけ熱が逃げにくいのかを示す等級です。判定基準は「UA(ユーエー)値」と「ηAC(イータエーシー)値」と呼ばれる数値で、2022年に等級5〜7が追加され、現在は1〜7の7段階となっています。ちなみに等級5がZEH水準、等級7は「HEAT20 G3」という国内でも最高クラスの断熱基準に相当します。

一方、一次エネルギー消費量等級は、暖冷房・換気・照明・給湯器などの設備も含め、家屋全体で1年間に使うエネルギー量を評価する等級です。こちらは「BEI」という数値によって判定され、これが小さいほど省エネ性能が高いことを示します。

簡単に整理すると、断熱等性能等級は「建物の器(外まわり)の性能」、一次エネルギー消費量等級は「建物と設備をあわせて実際に暮らしたときの省エネ性能」を表します。どちらも住宅性能表示制度の「温熱環境・エネルギー消費量」の分野で評価される項目です。

・一次エネルギー消費量等級7・8が意味すること

新設された2つの等級は、以下の基準を満たす必要があります。

・等級7:BEI ≦ 0.70(省エネ基準から30%以上の削減)
・等級8:BEI ≦ 0.65(省エネ基準から35%以上の削減)

これまでの最高だった等級6(ZEH水準・BEI ≦ 0.80、20%削減)を大きく上回る水準です。
等級7・8は等級6と同じく、「太陽光発電によるエネルギー削減分を含めず、建物と設備そのものの省エネ性能」で判定されることがポイントです。つまり、太陽光に頼ることのない優れた省エネ性能を持つ住宅が評価される仕組みとなっています。ただし、等級6〜8については太陽光発電によるエネルギー削減率を参考値として併記できるため、創エネ設備の効果を「見える化」することが可能です。

等級7・8を達成するためには、断熱性能を高めたうえで、高効率な省エネ設備を組み合わせることが必要です。例としては以下のような設備が挙げられます。

・高効率給湯器:エコキュート、エネファーム、ハイブリッド給湯器など
・高効率エアコン
・LED照明+調光制御
・全熱交換型の換気システム(室内の熱を逃がさず空気を入れ替える仕組み)

これらに加えて太陽光発電などを導入すれば、さらに環境性能の高い住まいとなります。
また、2030年には現在のZEH水準(断熱等性能等級5・一次エネルギー消費量等級6)が、新築住宅の最低基準として義務化される見通しとなっています。つまり、現時点で「高性能」とされるZEH水準の住宅が、将来的には「当たり前」になるということです。

これから家を建てる方には、先々を見据えて等級7・8を視野に入れた高断熱・高省エネの住まいづくりを検討する価値が高まっているといえるでしょう。

断熱に関しての詳細は、下記記事をご覧ください。
⇒「断熱とは?遮熱との違いと外張り断熱・充填断熱の特徴を知り、快適な家づくりを!

住宅性能評価書を取得する流れと取得方法

住宅性能評価書

●事前打ち合わせ

住宅性能評価書の取得に際しては設計者(建築士)や施工会社との事前打ち合わせが大切です。どのような性能を対象とした評価を受けるべきかに加え、どの基準を満たすためにどう設計を進めるべきか、一緒に考えてもらいましょう。また、施工段階での確認や施工方法に関する質問は、施工会社に相談するのが一般的な流れですが、設計者を通した方がスムーズな場合もあります。

●評価の申込み

評価を受けるためには登録住宅性能評価機関に申し込む必要があります。申込み時には必要な書類や設計図面、詳細な仕様書などを提出する必要があります。

●設計段階での評価

まず、住宅の設計段階で設計図を基に性能評価を受けます。このときに、住宅がどのような性能を持っているのか、耐震性、耐火性、省エネルギー性能などをチェックします。提出された設計図や書類、必要な資料に基づいて、第三者機関が住宅の性能を審査します。評価機関は住宅が性能基準を満たしているか検査したうえで評価します。

●設計住宅性能評価書の交付

設計段階で評価機関に申し込みを行った対象の住宅について各性能項目(耐震性、省エネルギー性、耐火性など)がどのように評価されるかを示した書類です。この評価書は設計段階で住宅が性能基準に適合していたということを証明します。ローン審査を受ける際に金融機関や保険会社などに提示できます。

●建設住宅性能評価書の交付

構造材の使用や断熱材の施工状況など、完成後に見えなくなる部分については、施工中の現場検査によって確認します。施工後の評価が済むと建設住宅性能評価書が交付されます。評価書は住宅が基準を満たしているか、どの性能等級に該当するかなどについて、その詳細が記載されたものとなっています。一般的にはこの評価書を取得した後に住宅の引き渡しが行われます。

住宅性能評価書のよくある疑問

住宅性能評価書

ここからは、住宅性能評価書に関して、よくある疑問をまとめて紹介します。

●住宅性能評価書の取得は義務?

住宅性能評価書は義務的なものと違い、その取得はあくまでも任意です。新築住宅を建設する際、評価書を取得するかどうかは、個人の判断で決められます。

しかし義務ではないものの、評価書を取得することにより、住宅の品質や安全性が客観的に証明されるので、評価を受けた方は多くのメリットを享受できるでしょう。

●取得費用の目安

住宅性能評価書の取得費用の目安は10〜30万円程度です。この金額には設計住宅性能評価書と、建設住宅性能評価書の、それぞれにかかる料金が含まれます。

ただし、費用は評価を依頼する機関や、住宅の規模・構造によって異なります。詳細な料金については評価機関に関する最新の資料を確認することが重要です。

参考:日本確認検査センター「新築住宅 性能評価料金

●あとから取得できる?紛失したら再発行は可能?

新築住宅の場合は住宅性能評価書を後から取得することはできません。対象となる住宅は建設開始前の段階から評価されており、設計段階で基準を満たしている必要があるためです。

評価書を紛失した場合は、再発行が可能です。再発行を希望する場合は評価機関に申請し、必要となる所定の手続きを完了させましょう。

まとめ

住宅性能評価書は住まいの性能を客観的に評価した信頼性の高い書類です。証明を受けると住宅ローンの金利優遇、地震保険の割引、税制優遇、紛争処理機関の利用など、多くのメリットを得ることができます。
2025年12月に施行された改正により、一次エネルギー消費量等級7・8が新設され、省エネ性能への関心はますます高まっています。これから家を建てる方は、断熱等性能等級や一次エネルギー消費量等級を軸に、高効率な給湯器や省エネ設備、太陽光発電の導入も含めて検討し、長く快適に暮らせる住まいを目指しましょう。第三者の評価が得られれば納得のいく住まいがつくれるはずです。
断熱改修や省エネ住宅については、下記の記事もぜひあわせてご覧ください。

家づくりに関しての詳細は、下記記事をご覧ください。
⇒「住宅省エネ補助金は使える? 外壁張り替えリフォームと断熱改修を解説
⇒「カーボンニュートラルに貢献する外壁材の選択

【記事更新日:2026年4月30日/記事公開日:2025年4月11日】

記事を読んだらクイズに挑戦!

2025年12月1日より、新たな等級が設けられたのは、「断熱等級」である。

正解!

残念...正解は✕でした。

2025年12月1日より、「一次エネルギー消費量等級」に、「等級7」「等級8」が新設されました。一次エネルギー消費量等級は、暖冷房・換気・照明・給湯器などの設備も含め、家屋全体で1年間に使うエネルギー量を評価する等級で、等級1〜8で構成されています。等級4が最低水準となっており、等級6(ZEH水準)を取得する住宅が普及していることから、さらに高性能な住宅の基準が設けられました。

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