2026.03.30

省エネ住宅とは 省エネ基準ってなに? メリット・デメリットも紹介

2025年4月から新築住宅には省エネ基準への適合が原則義務化され、これを受けて省エネ住宅への関心は以前にも増して高まっています。一方、「省エネ住宅とは何か」「どんな種類やメリットがあるのか」という疑問を持つ方も少なくありません。本記事では省エネ住宅の位置づけや、長期優良住宅・ZEHといった関連する代表的な制度を整理し、確認方法やメリット・注意点などをわかりやすく解説します。

省エネ基準が義務

省エネ

●2025年に義務化、2030年まで段階的に引き上げ
新築住宅は2025年4月から省エネ基準に適合することが原則として義務化されました。さらに、国は2030年までにZEH水準へ段階的に基準を引き上げる方針を示しています。
このため、今後は「省エネ基準への適合」だけでなく、将来の基準強化を見据えて、断熱(外皮)や設備の水準をどこまで確保するかが検討のポイントになります。2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、住宅の省エネ・省CO2化を進める流れが続くため、住宅会社の標準仕様も段階的にアップデートされていくことが想定されています。

●“省エネ性能で比べる”が前提に
省エネ制度の流れは「一度決まって終わり」ということではなく、国の脱炭素方針に沿って段階的に引き上げられます。住宅会社側でも標準仕様の底上げは進んでおり、例えば、複数の工務店は断熱等級6を標準化する動きを公表しています。
また、一定以上の戸数を供給する大手ハウスメーカーなどの事業者に課される「住宅トップランナー基準」は2027年度を目標年度とする見直しが行われており、供給側には、より高い省エネ性能が求められる見通しとなっています。
こうしたことから今後は「最低限の省エネ基準への適合」だけでなく、より上位の水準(断熱・一次エネ削減・再エネ等)を前提にした比較が増える可能性があります。

●手続きの影響
新築の場合は建築確認の手続きをする中で省エネ基準への適合を確認することが前提となるので設計から申請の流れに一定の検討・確認工程が加わります。
そのため、窓や断熱、設備などを検討するにあたっては「早く決定する」ことよりも、見積もりの比較や仕様調整の時間を織り込んだスケジュールを組むことも重要です。設計の終盤で仕様変更が重なると、再確認や書類の調整が必要になり、全体の工程に影響する可能性があります。

家を建てるまでの流れに関しての詳細は、下記記事をご覧ください。
⇒「家を建てるまでの流れが知りたい! 年収や頭金はどれぐらい必要? 注文住宅の基礎知識

省エネ住宅とは|種類や基準

省エネ

省エネ住宅の種類としては、主に下記が挙げられます。

●長期優良住宅
国土交通省は「長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた優良な住宅」を長期優良住宅としています。認定は建築及び維持保全の計画を作成して所管行政庁に申請することで受けられます。なお、認定基準は下記の項目です。

・長期にわたって使用するための構造及び設備を有していること
・一定面積以上の住戸面積を有していること
・地域の居住環境を維持・向上するために配慮されたものであること
・維持保全計画が適切なものであること
・自然災害による被害発生の防止・軽減に配慮されたものであること

このような基準を満たして長期優良住宅に認定されると、税制上のさまざまな優遇を受けられるようになります。

長期優良住宅については、下記記事もご参照ください。
⇒「長期優良住宅とは? 新設のGX志向型住宅やZEHとの違いとメリット・デメリット

●低炭素住宅
低炭素住宅とは二酸化炭素の排出の抑制に資する建築物のことで、所管行政庁(都道府県、市又は区)が認定を行うものを指します。長期優良住宅と異なる点は、認定の基準が省エネに特化していることです。認定を受けるためには、下記の基準を満たす必要があります。

・省エネ法の省エネ基準と比較して、一次エネルギーの消費量が-20%以上であること
・再生可能エネルギーの利用設備が設けられていること(太陽光発電など)
・省エネ効果による削減量と再生可能エネルギー利用設備で得られるエネルギー量の合計値が基準一次エネルギー消費量の50%以上であること(一戸建て住宅の場合のみ)
・その他の低炭素化に資する措置が講じられていること

一次エネルギー消費量とは冷暖房や換気、給湯、照明などの設備機器を使用した際に発生するエネルギー量です。

●ZEH住宅

省エネ

ZEH(ゼッチ)は「外皮の断熱性能等を大幅に向上させ、高効率な設備システムの導入によって室内環境の質を維持しつつ、大幅な省エネルギーを実現した上で再生可能エネルギー等を導入し、年間を通じた一次エネルギー消費量の収支ゼロを目指した住宅」を表す「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略語です。つまり、建物の断熱性能を高めると同時に、省エネ設備でエネルギーの消費量を抑える。そして、再生可能エネルギーを活用することにより、エネルギーの収支が正味0になる住宅です。認定を受けるためには下記の基準に該当する必要があります。

①地域区分1〜8地域の平成28年省エネルギー基準に適合した上で、ZEH強化外皮基準として地域に応じたUA値[W/m²K]を満たす
※基準にはηAC値、気密・防露性能の確保等の留意事項が含まれます。

・1・2地域:0.40以下
・3地域:0.50以下
・4〜7地域:0.60以下
・8地域:UA値規定なし

UA値は外皮(建物の外周部分)を通じて屋内の熱がどれくらい逃げやすいかを表す数値で、この値が小さいほど断熱性能が高いことを意味します。
1・2地域は北海道をはじめとする寒冷地域、東京や大阪は多くが5・6地域に該当しています。

②再生可能エネルギー等を除き、基準一次エネルギー消費量から20%以上の一次エネルギー消費量の削減

③再生可能エネルギーの導入(容量不問)

④再生可能エネルギー等を加えた基準一次エネルギー消費量から100%以上の一次エネルギー消費量の削減

●LCCM住宅
LCCM(エルシーシーエム)住宅は「ライフ・サイクル・カーボン・マイナス」の頭文字からついた名称です。建設時・運用時・廃棄時に出来るだけCO2の削減に取り組み、さらには太陽光発電などを利用して再生可能エネルギーを創出し、住宅を建設する時のCO2排出量も含め、ライフサイクルを通じたCO2の収支をマイナスにするのが特徴です。
ZEHが運用時における年間のエネルギー収支に着目するのに対し、LCCMは運用前後の建築時と廃棄時を含めたエネルギー収支にも配慮しています。
認定基準は下記に挙げた2項目のうち、いずれかを満たすものとなります。

①LCCM適合判定ルート:CASBEE-戸建(新築)に基づく「LCCM住宅部門の基本要件(LCCO2)適合判定ツール」で評価した計算結果が「適合」の住宅。

②CASBEE認証ルート:CASBEEの戸建評価認証制度に基づいて認証された環境効率ランクがSまたはAであり、なおかつライフサイクルCO2のランクが、緑☆☆☆☆☆(5つ星)である住宅。

省エネ基準の確認方法・調べ方

省エネ

ここでは、省エネ基準の確認方法や調べ方をご紹介します。

●新築の場合|省エネ基準の適合性審査
新築住宅は省エネ基準に適合することが2025年4月から原則として義務づけられており、建築確認等の手続きをする中での適合確認が前提です。
実務上では住宅会社が手続きを進めるケースが多いため、施主側は適合している基準と、適合を示す資料・説明を受けられるかどうかを確認しておくと安心です。

●建売・中古住宅等の場合|省エネ性能表示制度
建売住宅や中古住宅の場合は「省エネ性能表示制度」の確認が必要です。省エネ性能表示制度は消費者等が建築物を購入・賃借する際、省エネ性能の把握や比較ができるようにする制度で、具体的には新築建築物の販売・賃貸の広告等に省エネ性能のラベルが表示されています。

ラベルにはエネルギー消費と断熱の性能が★マークや数字で表示されます。建物の種類(住宅(住戸/住棟)、非住宅、複合建築物)と、評価の方法(自己評価、第三者評価)に加え、再エネ設備の有無で建物の省エネ性能が一目でわかるようになっています。
2024年3月以前に建築確認を申請した物件は、ラベルの表示が必須となっていませんが、省エネ性能が評価されている場合は、表示することが望ましいとされています。

住宅性能評価書について下記記事もぜひご覧ください。
⇒「住宅性能評価書とは? 評価を受けるメリットと住宅性能表示制度での評価項目ご紹介

省エネ住宅のメリット

省エネ

省エネ住宅のメリットにはどのような点があるのでしょうか。

●環境に優しい住宅
省エネ住宅は建物自体の断熱性能に加え、エネルギー効率の良い高効率な設備の導入が基準となっているため、暖房や冷房などの使用が抑えられ、年間を通じて光熱費が大幅に削減できます。エネルギー効率を高める設計は、家計の負担軽減と環境負荷の低減を両立させます。

断熱についてはこちらの記事もご覧ください。
⇒「断熱とは?遮熱との違いと外張り断熱・充填断熱の特徴を知り、快適な家づくりを!
⇒「住宅省エネ補助金は使える? 外壁張り替えリフォームと断熱改修を解説

●住宅ローン減税を受けられる
住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)は、住宅を新築または購入する場合に一定の条件下で所得税が控除される制度です。具体的にはローンの年末残高に対し、0.7%が所得税等から控除され、結果として年間の税負担が軽減できます。
ただし省エネ基準を満たさない新築住宅は、2024年以降住宅ローン減税の対象外となりました。

住宅ローン減税の申請には「認定長期優良住宅、認定低炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅のいずれか」を証明する書類の提出が必要です。

●資産価値に影響がある
資産価値に対して影響を与える点も省エネ住宅の大きな特徴です。近年は、環境意識が高まってエネルギー効率の向上に対する需要も増えているため、高断熱や再生可能エネルギーの利用といった具体的な省エネ設備を導入した住宅は、将来的にリセールバリュー(再販売する際の価値)が高まる可能性があります。

●断熱性能が向上し、居住空間が快適になる
省エネ住宅は優れた断熱性能を備えており、居住空間の質を大幅に向上させます。冬は、室内の暖気を逃がさず、夏は屋外の熱を遮断できるため、結露やカビの発生を抑制しやすくなります。また年間を通じて室温が安定することで快適で健康的な生活が送りやすくなります。

●省エネ住宅への改修工事を実施した場合、固定資産税の減額措置を受けられる場合がある
既存住宅を省エネ改修すると固定資産税の減額措置を受けられる場合があります。例えば、東京都では改修工事完了年の翌年度分(改修工事の完了日が1月1日の場合はその年度分)の固定資産税に限り、当該住宅一戸あたりの床面積120m²相当分までに対する固定資産税額の3分の1が減額されます。
減額措置は住まいの維持費用を長期的に軽減する重要なポイントとなります。ただし、自治体によって金額や条件が異なる場合があるのでお住まいの自治体サイトを確認してみましょう。

住宅ローン減税活用のポイント

省エネ

住宅ローン減税は入居時期だけでなく、住宅の性能区分や床面積、必要書類など、複数の条件で適用可否が決まります。

●住宅ローン減税はいつまで?期限と限度額
住宅ローン減税の適用期限は、2030年末の入居分まで、5年間延長されました。借入限度額は住宅の省エネ区分に加え、「新築・中古」「子育て世帯・若者世帯(夫婦のいずれかが40歳未満)」といった属性に応じて細かく設定されています。

令和8年居住開始の場合

住宅の性能区分 新築住宅(控除期間13年) 中古住宅(控除期間13年※)
長期優良住宅・低炭素住宅 4,500万円(5,000万円) 3,500万円(4,500万円)
ZEH水準省エネ住宅 3,500万円(4,500万円) 3,500万円(4,500万円)
省エネ住宅 2,000万円(3,000万円) 2,000万円(3,000万円)
非省エネ住宅 対象外 2,000万円(控除期間10年)

※( )内の金額は子育て世帯、または若者世帯における特例限度額です。
※中古住宅(省エネ基準適合以上)の控除期間は、2026年入居分より従来の10年から13年に延長されました。

●住宅ローン減税の条件と必要書類
住宅ローン減税が適用される主な条件は、合計所得金額が2,000万円以下、ローンの借入期間が10年以上、そして自身が居住する住宅であることです。また、2026年度からは合計所得1,000万円以下の場合に限り、中古住宅も床面積要件が40m²以上に緩和され、より幅広い物件で減税を受けられるようになりました(ただし、合計所得1,000万円超の者、および子育て世帯等への上乗せ措置利用者は50m²以上)。

申請する場合は、その住宅が省エネ基準に適合していることを証明する公的な書類が不可欠です。

・建設住宅性能評価書(登録住宅性能評価機関による発行)
・住宅省エネルギー性能証明書(登録住宅性能評価機関や建築士等による発行)

これらの書類は設計段階での審査や建築中の現場検査を経て発行されるものです。建築中に手続きを要するため、入居後に遡っての取得は難しい場合があります。必ず早い段階で住宅会社の担当者に「住宅ローン減税を受けたい」という旨を伝え、必要な証明書を取得するための手配をしておきましょう。

住宅ローンや資金計画に関しての詳細は、下記記事をご覧ください。
⇒「資金計画書とは? 家を建てるための資金計画と住宅ローンの検討
⇒「住宅ローンとは? その仕組みや種類、控除のポイントなどを知りたい!

省エネ住宅のデメリット・注意点

このように、省エネ住宅には多くのメリットがありますが、いくつかのデメリットや注意点もあります。具体的なデメリットとして、下記の点に注意しましょう。

・住宅の価格が高くなる
・種類や選択肢がハウスメーカーや工務店によって異なる

省エネ基準を満たす住宅は、断熱材や高性能の窓、設備などを使用するため、イニシャルコスト(初期費用)が高額になります。ただし、初期費用は高くても長期的には光熱費の節約が見込まれるため、全体で捉えると経済的に有利なケースもあります。

省エネ住宅の設計や性能はハウスメーカーや工務店によって多岐にわたりますので、見積もりは複数の業者から取って仕様を比較検討することが重要です。

まとめ

人々の環境意識が近年は高まりつつあります。省エネ住宅の重要性は、新築住宅の省エネ基準適合が原則義務化されたことで、より一層高まっています。今後も2030年に向けて基準が段階的に引き上げられることが示されているため、住宅の新築や購入を検討する際は「省エネ住宅」に該当するかだけでなく、断熱や設備の水準まで含めて比較・確認することが重要です。

【記事更新日:2026年3月30日/記事公開日:2024年10月9日】

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