2025.09.19
引っ越しの挨拶は必要? いつ、どこまでするべきか、粗品・手土産の選び方 のしは必要?
新居に引っ越しをする際の悩みといえば近所への挨拶ではないでしょうか。近所付き合いが多かった時代は当たり前のように挨拶を行っていましたが、現代では不要と考える方も増えています。しかし、ご近所との良好な関係を築くために、挨拶が大きな役割を果たすことは、現代社会においても変わっていません。
今回は、現代における引っ越しの挨拶についてわかりやすく解説します。新生活を気持ち良くスタートさせて、安心・安全に長く暮らしたいと考えている方は、ぜひご参考にしてください。
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⇒「家を建てるまでの流れが知りたい! 年収や頭金はどれぐらい必要? 注文住宅の基礎知識」
引っ越しの挨拶は必要?現代社会における傾向
近年は引っ越しの挨拶に対する考え方が変化しています。挨拶まわりを行うのが望ましいことは変わりませんが、必須のマナーではなくなってきました。
●引っ越しの挨拶がもたらすメリット
【新居】
新居の近隣住民に挨拶をすると、良好な近隣関係が築けることに加え、安心・安全に暮らしやすくなります。挨拶による主なメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
・良好な近隣関係を構築するきっかけづくり
・近隣トラブルの予防
・防犯面での安心感の構築
・日常生活や災害時における助け合いの醸成
引っ越しの挨拶は良好な近隣関係を構築するきっかけとして非常に効果的です。最初に顔を合わせて挨拶をしておけば、お互いに親しみを持ちやすくなりますよね。また、近隣トラブルを予防する効果も期待できます。日常で起こりがちな生活音などの細かい問題も、事前に顔を合わせていれば相談しやすくなるでしょう。さらに、顔見知りになった近隣住民の視線などによる自然な防犯効果や、災害時の助け合いといった安全面でのメリットもあります。
【旧居】
旧居の近隣住民に挨拶をする大きなメリットは、感謝の気持ちを伝えることで以後も関係性が継続しやすくなることです。転勤で一時的に離れる場合や近くに引っ越す場合は、挨拶をしておくとその後も暮らしやすくなるでしょう。
●家族構成別の挨拶の必要性
家族構成別で見ると、以下のような考え方が主流です。
・単身世帯:
近隣住民との深い付き合いを想定しない方が多く、挨拶の必要性を感じていないケースが見受けられます。特に女性の場合は「一人暮らし」であることを周囲に知られてしまうリスクがあるため、防犯面の観点から挨拶をしないのが無難という考え方があるようです。
・ファミリー世帯:
長期居住を前提とするケースが多いこともあり、近隣との良好な関係で生活のサポートが望めるため、挨拶を重視する傾向が見られます。
・夫婦世帯:
想定する居住期間によって傾向が異なります。出産・子育てを見据えて長く住むつもりであれば、挨拶をした方が将来的に暮らしやすくなるでしょう。一方、2〜3年程度の住まいと考えている夫婦の場合は、挨拶を必要と感じていない方も少なくありません。
住宅タイプ別に見た挨拶すべき範囲

次に、住宅タイプ別に挨拶をすべき範囲を見てみましょう。
●戸建て住宅
昔から、挨拶は「向こう三軒両隣(向かいの3軒と、左右の2軒)」にすることが基本とされています。また、裏にも家が並んでいる場合は、裏の3軒にも挨拶しておくことをおすすめします。
これら近隣の家庭とは日常生活で関わる機会が多く、ゴミ出しや洗濯物を干す際などにも顔を合わせやすいというのがその理由です。
●アパート・マンション
集合住宅では新居の左右・上下の4軒に挨拶するのが基本です。左右の家庭は廊下やエレベーターで顔を合わせることが多いことに加え、生活音が漏れて迷惑をかけてしまうことがあります。また、上下階の住戸には子どもが走ったり跳んだりした時の振動が伝わりやすく、近隣トラブルに繋がることも少なくありません。
事前に挨拶をして生活音や振動が発生することを伝え、近隣トラブルの予防に繋げるための配慮が大切です。
●自治会長・大家・管理人への挨拶
自治会長・大家・管理人への挨拶も忘れないようにしましょう。特に戸建て住宅の場合は自治会のルールを守ることが強く求められるケースもあり、引っ越し後の生活に慣れるまでは自治会長のお世話になる場面が多々あります。
ただし、大家さんが遠方に住んでいる場合は、足を運んでまで挨拶をする必要はありません。必要に応じて管理会社を通じて連絡を取る程度で十分でしょう。
引っ越しの挨拶をするタイミング

挨拶のタイミングは自分の印象を大きく左右する重要な要素です。適切なタイミングを選び、悪印象を与えないようにしましょう。
●旧居での挨拶
旧居での挨拶は引っ越しの作業を始める前に行いましょう。引っ越しが始まるとトラックの出入りや荷物の搬出で慌ただしくなり、迷惑をかけてしまう可能性があるためです。
●新居での挨拶
新居で挨拶する際の望ましいタイミングは引っ越しの荷物が届く前です。引っ越し作業で騒がしくなる前に挨拶をしておきたいですね。遠方からの引っ越しなどで事前の挨拶が難しい場合は、引っ越しが終わってから2〜3日以内の落ち着いた頃に挨拶しましょう。あまり時間が経ってしまうと印象が悪くなってしまう可能性があります。
留守の時は時間帯や日にちを変え、改めて訪問してみてください。なかなかタイミングが合わない場合は、手紙と粗品を郵便受けに入れるようにしましょう。ドアノブに引っかけるのは快く思わない方もいるので避けた方が無難です。
●訪問するタイミング
訪問のタイミングは日中の忙しくない時間帯が好ましいとされています。目安は午前10時から午後5時頃までです。朝の準備や夕食の時間帯は避けましょう。
●挨拶に行く人
家族全員で挨拶をするのが理想ですが、そのために挨拶のタイミングが遅くなってしまうということなら、夫婦だけで挨拶をしても問題ありません。子どもがいる場合は家族構成や騒音・振動が発生することを伝えるようにしましょう。
粗品・手土産の選び方とのし紙の必要性

ここでは、挨拶の際に持参する粗品選びのポイントをご紹介します。
●粗品の相場と選び方の基本
粗品の一般的な相場は500〜1,000円程度です。基本的に実用性を重視した品物を選ぶようにしましょう。
【おすすめの品物】
普段、自分では買わない少し高級な品物を選ぶと特別感を演出できます。
・タオル
・洗剤
・日持ちするお菓子(個包装されたクッキー、おかきなど)
・消耗品(高級ティッシュやトイレットペーパーなど)
【避けるべき品物】
日持ちしない、好みが分かれる、気を遣わせてしまうような品物は避けましょう。
・生もの
・香りが強いもの
・高額すぎるもの
●のし紙の必要性
粗品にはのし紙を付けることで、より丁寧な印象が与えられ、名前を覚えてもらいやすくなります。のし紙を付けるのは現代においても一般的なマナーとされているので、できれば用意するようにしましょう。
【のし紙の書き方】
・筆記具:筆もしくは筆ペン
・表書き:旧居の挨拶「御礼」もしくは「粗品」、新居の挨拶「御挨拶」もしくは「粗品」
・名前:蝶結びの下に苗字を小さく書く
・付け方:外のしを包装紙の上に付ける
・水引き:紅白の蝶結び
おわりに
現代において、引っ越しの挨拶は必須のマナーではなくなりましたが、良好な近隣関係を築くきっかけになることは変わりません。長期居住や出産・子育てを想定している場合は、将来的に近所付き合いが生活の支えになることも多いでしょう。良好な近隣関係を築いて気持ち良く暮らすために大切なのは相手に対する思いやりの気持ちです。ライフスタイルに応じて挨拶の要否を判断することも重要ですが、日頃からお互いを尊重し続けることが快適な住環境の実現に繋がります。