窯業系サイディングのメンテナンス

維持管理の目的

ロングライフ住宅の実現に向けた外壁の性能維持には、適切なメンテナンスが重要です。

窯業系サイディングは、太陽光、雨水、風雪、台風などの自然環境条件やメンテナンスの実施程度によって、その耐用年数に大きな影響を受けます。
住宅の長寿命化を実現する一助として、外壁の性能を維持するためには、適切なメンテナンスが重要であり、そのことにより外壁に要求される諸性能(美観・防水性能・防耐火性能・耐風圧性能など)に対し長期にわたり性能を維持することが期待できます。
※点検はお施主様の責任でお願いします。

維持管理の目的 1.モエンの機能・性能を十分に発揮させる
2.
モエンによる不具合を未然に防止する
3.モエンの寿命を延ばす

日常のお手入れ方法

1.窯業系サイディングの清掃など

  • 窯業系サイディングにほこりや土などの汚れが付いた場合には早めに清掃してください。
  • 窯業系サイディングの清掃は、塗膜面に傷を付けないように、ホースまたは雑巾を使用して水洗いしてください。また凹部に溜まった汚れが落ちにくい場合は、やわらかいブラシ(やわらかめの歯ブラシ程度)を使用して水洗いしてください。高圧洗浄や、スチーム洗浄などは、塗膜に悪影響を及ぼすおそれがありますので避けてください。
  • 手の届く高さで局所的な汚れ(特に鳥の糞やカビなど)がある場合は、壁面全体をあらかじめ水で濡らした後、中性洗剤を洗剤に記載の使用方法・注意に従い雑巾またはやわらかいブラシ(やわらかめの歯ブラシ程度)を使用し、よく泡立てた後ふき取ってください。ふき取り後、必ず雑巾またはホースなどでしっかりと水洗いしてください。
  • 窯業系サイディングに藻やカビが見られたら、柔らかい布や柔らかいブラシ(やわらかめの歯ブラシ程度)で中性洗剤を用いて水洗いしてください。藻やカビを殺す薬剤を用いれば、繁殖を止めることはできます。しかし、色素のある藻の多くやカビの場合、死んでも跡が残ります。漂白作用のある薬剤を使えばカビ跡も残りにくいですが、窯業系サイディング自体を傷めてしまう危険性があるので注意が必要です。ご使用時は、塗膜・基材の劣化が進んでいる場合、塗膜・基材を傷めてしまうことがありますので、事前に目立たない箇所で試し洗いをし、問題ないことを確認した上で実施してください。また、外壁面や、土台水切などの金属部材に薬剤が残留すると、変色やサビの原因になります。洗浄後はしっかりと全体を水で洗い流してください。薬剤は、周辺の植物(植木や芝など)を枯れさせたり、手荒れなどの原因にもなります。薬剤による清掃につきましては、お施主様ご自身の責任にて実施してください。また、再塗装によるメンテナンスをされる場合は、専門業者様とご相談されることをおすすめします。

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  • 外壁面にホースなどで散水する際は、必ず上から下に向けて散水してください。下から上に向けて強い圧力で散水すると接合部目地などから漏水する恐れがありますので避けてください。
  • 土台部、下屋根部などで窯業系サイディングが積雪によりおおわれる部分や、入隅部などで雪の吹きだまりができる部分は、積雪をこまめに除去してください。

2.後工事の注意点

  • 看板、エアコンなどを後から取り付ける場合は、窯業系サイディングに直接固定することは避けて、必ず適切な補強をした下地に固定してください。
  • 既存の建物に増改築などによって新築の建物が接続する場合には、建物の挙動の違いによってひび割れなどの問題を起こすおそれがありますので、接合部分では必ずエキスパンションジョイントなどを設けて縁を切って施工してください。

外壁の点検方法

点検の際は、モエン本体およびモエンの塗膜、シーリング、付属部材の状態などを確認してください。

1.モエン本体の点検
モエンに亀裂が発生していないか、欠けなどの欠損がないか目視で点検してください。
地震発生後などは、特に釘打ち周囲の亀裂や板のズレがないか点検してください。

2.モエンの塗膜の点検
塗装面に汚れ、褪色、白化が目立つようになりましたら再塗装が必要な時期です。
下表のメンテナンススケジュールを参考にして点検してください。

3.シーリングの点検
シーリングを目視して、はく離、亀裂などが発生していないか点検してください。

4.付属部材の点検
金属製部材の錆や化粧部材の欠損などが発生していないか点検してください。

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点検時期の目安
入居時に初回の点検を行い、それ以降は下表のメンテナンススケジュールを目安にして、点検を行ってください。
※これらの点検により、気になる変化を見つけた際には工務店様・専門業者様にご相談の上、再塗装やシーリングの打ち替えなどお早めのお手入れをおすすめします。メンテナンス費用はお施主様負担となっております。

メンテナンススケジュール(モデルケース)

※このメンテナンススケジュールは、あくまで目安としてください。

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Fu-geを含め、ニチハの窯業系外壁材全シリーズが、クリアー塗装によって新築時の風合いを再現できます。※1
窯業系外壁材の塗り替えは、有色塗料によるエナメル塗装(単色仕上げ)が一般的ですが、無色透明なクリアー塗装によって、既存の色や模様を残したまま元の外観を再現する方法もあります。意匠性の向上により、石やタイルなどの繊細な質感や自然な風合いを再現しており、「お気に入りの現在の外壁デザインをそのまま残したい」という方に最適なクリアー塗装がおすすめです。
ニチハでは、全商品(メモリアのホワイトと現場塗装仕上げの製品は除く)でクリアー塗装の再塗装が可能です。

外壁材の塗り替え

【ご注意】

  • メンテナンススケジュールは、日常点検・定期点検の実施、弊社標準施工の遵守、プラチナシールを含む弊社純正部材を使用した場合のモデルプランの一例です。 住宅の地域、環境や使用条件によって状況が異なりますので、メンテナンス計画を立てる目安としてご活用ください。
  • 同質出隅の張り合わせ角部・傷補修部分・釘頭のタッチアップなどの補修塗料使用箇所、釘頭の塗膜、鋼板部材は、外壁材表面と完全に同一ではありませんので、本モデルプランは適用されません。
  • 日常点検・定期点検において、外壁材本体に部分的な亀裂(クラック)、欠け、こすれ傷、汚れなどの傷みが見られた場合は、パテ埋め補修や部分的な張り替え、塗装補修などを行ってください。 また、シーリングに部分的な目地痩せ、はく離、亀裂、汚れなどの傷みが見られた場合は、部分補修や洗浄などを行ってください。適切な時期に適切なメンテナンスをせず放置すると、 外壁材のみならず建物全体に不具合が発生することがあります。また、地震や台風などの後にも点検を行ってください。
  • 外壁材の塗り替えは、一般的なアクリルシリコン塗料を使用した場合を想定しています。表面の劣化状況によっては、クリアー塗装ではなく、エナメル塗装になることもあり、 その場合は、単色仕上げとなります。またクリアー塗装が可能な場合でも、塗膜の劣化が進んでいた場合、新築時の色と異なることがあります。塗り替え後のメンテナンス時期は、塗り替えに使用した塗料により異なりますので専門の業者などにご確認ください。
  • メンテナンススケジュールは、時期および内容を保証するものではありません。

推奨(Fu-geを除く)
プラチナシールは30年以上の耐久性能(自社試験)を有していますが、地震などの建物の揺れにより「切れ」や「はく離」が起こることがあります。
特に負荷のかかる「外壁材本体どうしの継ぎ目」のシーリングにつきましては、15年から20年経過した時点での打ち替え工事をおすすめしています。

ニチハ窯業系外壁材の保証について

メンテナンス方法

窯業系サイディングのメンテナンスは次の方法を検討して適切な方法を計画してください。

1.窯業系サイディング本体のメンテナンス
ひび割れなどは割れ部分をVカットしてパテ埋めして塗装補修してください。
部分補修ですまない場合には窯業系サイディングを新しいものに取り替え てください。

2.窯業系サイディングの再塗装
窯業系サイディングの再塗装方法は、モノカラー(単色塗装)品の場合にはエナメル塗料(有色塗料)で、多色塗装品の場合にはクリア塗料(透明塗料)で再塗装してください。 なお、塗り替えの時の高圧水洗浄の水圧は接合部目地からの漏水のおそれがありますので専門業者様にご相談ください。

再塗装用の推奨塗料

3.シーリング材の打ち替え
部分的なシーリング材の打ち替えは必ずその部分の既存シーリング材を撤去し、適合プライマーを塗布して打ち替えてください。既存シーリング材を撤去せずにはく離やひび割れ部分に充填しても防水効果は得ることができません。外壁の塗り替えの際にはシーリング材全体を撤去して打ち替えてください。

4.付属部材の再塗装、取り替え
水切材などの金属製部材が錆びたり、塗膜がはがれたりしてきた場合には、再塗装してください。また、窯業系サイディングの再塗装時期には金属製部材も併せて再塗装してください。

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メンテナンスについてのご注意

  1. メンテナンス工事は原則として建築物を建築された住宅会社様・工務店様にご相談ください。
  2. シーリング材は、原則として弊社純正品からお選びください。
  3. 窯業系サイディングの再塗装時期には、化粧部材(破風・幕板・付け柱など)や金属製役物(水切材、見切緑など)の点検・塗り替え・取り替えなどもおすすめします。


再塗装用の推奨塗料

■再塗装や補修工事は専門会社様にご相談ください

  • 再塗装や補修工事などについては、住宅会社様、工務店様にご相談の上、専門工事会社様にご依頼ください。
  • お施主様ご自身で再塗装や補修工事をするのはおやめください。高所作業による、落下事故や怪我の原因となります。

■マスキングテープについて

マスキングテープの品種、施工方法などにより、外壁材の塗膜にはく離を引き起こす場合があります。
シーリング工事の際、次の点にご留意ください。

  1. 付着力の強いマスキングテープはご使用にならないでください(弊社推奨マスキングテープは下記表参照)。
  2. マスキングテープを1日以上貼り置きしないでください。また、雨天中の貼り置きは避けてください。
  3. マスキングテープを勢いよく引き剥がさないでください。
  4. マスキングテープからはみ出したシーリング材・プライマーは、シーリングクリーナー(JF6000)を含ませた布で拭き取った後、乾いたウエスにてもう一度拭いてください。
  5. マスキングテープが糊残りした場合は、お湯または水を含ませた布で、糊を膨潤させながら拭き取ってください。

【推奨マスキングテープ/カモ井加工紙(株)】

■一般外壁材商品向け

品番・品名 SB246S
注意事項 COOLメモリア・イルミオには使用しないでください。
お問い合わせ先 カモ井加工紙(株)
倉敷:086-465-5811
東京:03-3271-3888

■マイクロガード商品向け(COOLメモリア・イルミオ以外)

品番・品名 SB246
注意事項 COOLメモリア・イルミオには使用しないでください。
マイクロガード推奨品は「S」がつきませんのでご注意ください。
お問い合わせ先 カモ井加工紙(株)
倉敷:086-465-5811
東京:03-3271-3888

■COOLメモリア・イルミオ向け

品番・品名 『ミラクルミント』
注意事項 ・製品表面が乾燥している時に貼り付けてください。
・貼り付け後は早期にシーリング作業を開始し、シーリング充填後は直ぐにマスキングテープを剥がしてください(貼り付け時間は長くとも2~3時間程度としてください)。
マスキングテープを貼り付けたままで日をまたぐことは絶対に避けてください。
・マスキングテープが貼られた状態で、雨などで水に濡れると、糊残りを助長させますので、必ず天気の良い日に作業をしてください。
お問い合わせ先 カモ井加工紙(株)
倉敷:086-465-5811
東京:03-3271-3888

※推奨マスキングテープをご使用された場合でも、多少の塗膜はく離が発生することがありますので、できるだけゆっくり丁寧に剥がしてください。

■窯業系サイディング製品保証のしくみ

  1. 住宅の外壁は、外壁材(窯業系サイディング)とその施工工事により構成され、はじめて品質・機能が発揮されるものです。
  2. 外壁材の品質性能およびその維持管理には適切な施工およびメンテナンスが必要です。
    (詳しくは、窯業系サイディングのメンテナンスを参照)
  3. これらが充分に行われた上で、外壁材の製品に起因する不具合に対し、下記フロー図のとおりに弊社と住宅会社様の間で製品保証させていただくしくみがあります。
  4. 万一の不具合発生の場合は住宅会社様にご相談ください。住宅会社様の要請を受け、弊社による不具合現象調査確認および保証対象の判断をさせていただきます。

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ニチハ窯業系外壁材の保証について