お客様の実感ボイス集(新築編3)

新築編3 設計士でもあり、施主でもあるF様の家づくり

「NICHIHA SIDING AWARD 2011」グランプリ~ 岡山県 F様邸

機能とデザインが融合した自然体で暮らせる「家族思い」の家。

緑豊かな住宅街に建つF様邸。夏にはカブトムシが飛来し、秋には栗やアケビがなる。四季折々の移ろいに日本の原風景を思わせるロケーションに佇む姿は、個性的でありながら、周囲に馴染む景観を作り出しています。
設計士であり、施主でもあるF様にとって、「家族が僕のアイデンティティ」という、家族への気遣いが随所に感じられるご自邸がどのようなプロセスで創り出されたのか?これから家を建てるみなさんへのアドバイスも伺っています。

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Type SP 純白
TF101
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Type BR ブルーグレー
TF113

※風光は2018年12月に生産終了しました。

ダイニングセットが一番のこだわり。

shinchiku3-5.webpまず、家族みんなが集まってご飯を食べる空間であるキッチン、ダイニングに大きなテーブルを設置したかった。そこを中心に西に水回り、東にリビングというプランニングから始めました。20m強の土地幅を活かして横長に設計。北から西に45度振った土地形状のため、冬の採光を考えてリビングだけは45度傾け、真南に面する平面プランに。
次に道路面から3mの高低差をどうするのが一番いいかを考え、来客用と家族用の玄関を分けました。来客用玄関は収納少なくて済み、アプローチも容易。家族用玄関には、収納の類もすべて置ける上に、車から濡れずにアプローチできるなどメリットがある。

こだわりのダイニングセット。 F様ご夫妻

間取りと機能の延長線上に外観デザインがある。

僕は、まずは通風や採光といった機能を考えて窓を配置しますが、窓は建物の顔になりますので、配置の仕方によって外観はものすごく変わります。そこに化粧をする感覚で色を変えたら、より良くなった。あくまで、建物の機能の延長線上で、この外観に辿り着いたという感じです。外観ありきでつくると、絶対に中がうまくいかない。住む上で一番大事なのは間取りです。窓は間取りに合わせればいい。

外壁材に「いいな」と思っていた風光を採用。

最初は、塗装仕上げとタイル張りにしようと考えていましたが、メンテナンス費用の点でサイディングにすることに。使用したのは、発売された頃から「いいな」と思っていたけど、使用する機会に恵まれなかった風光。彫りが深く、役物のボコボコ感も面白かった。ベースのType SPは、すぐに決まりました。アクセント部分は、テクスチャーを変えてType BRで印象的な仕上がりにしました。継ぎ目がわかりにくいのと、ブルーグレーという色が新鮮でした。Type SPは純白にして、雨で汚れを洗い落とすマイクロガード機能の効果を僕なりに検証しようと思っています。
最近は、白が良いというお客さんが多いですが、汚れが気になる人も多くて。昔の外壁はモルタルでリシン吹き付けが多く、汚れて塗り替えをした経験があるから、不安なのでしょう。
それから、風光が来客用の玄関の木目と合うのかなという心配がありましたが、この組み合わせは正解でした。無機的な印象の風光と自然素材に近い木目との対比によって、印象的な玄関になったと思います。

途中経過を見せずに進めた設計。家族の反応は!?

家族に途中経過を見せず、実施設計をきちんと済ませてから、図面をオープンしました。奥さんは「いいね」で終わっちゃいました。子供は、「お父さん、ありがとう」と。「お父さん、うれしい」ではなくて、「ありがとう」と言ってくれて、本当にうれしかったです。
設計を生業としている以上、一緒に長く暮らしている中で、奥さんの意見を聞かないと家の間取りがつくれないのでは、プロとしても夫としてもダメだという思いがあります。後は理解のある奥さんに受け入れてもらえました。

住宅に対して持っている固定概念を捨てる。

うちは子どもが小さいから、今はリビングにソファーは置いていません。将来、家具も配置できるように空間の寸法取りはしてあります。リビングの梯子を上っていった壁の裏はエアコンの室内機があります。それを掃除しようと思って、床と梯子を付けた。そこに色を付けて、子どもが遊べるようにしました。
他にも、子ども部屋は3.5畳で、クローゼットは廊下向き。クローゼットは室内にあるものだという固定概念があると思いますが、廊下側にあると物をしまってから部屋に入ればいいので室内が汚れません。僕はなるべく固定概念を持たないように、その場その場で新しい発想ができるように心がけています。

梯子を上がった壁の向こう側は子どもたちの秘密基地。リビング脇には書斎も。

これから住宅を建てる方へ。

家を建てるだけではなくて、その後も長く付き合えるような設計士さんを探すこと。今はホームページとかいろいろな媒体があるから、まず探して、実際に会ってみてください。お客さんと設計士の人間関係が良好で設計士を信用することができれば、良い建物ができると僕は信じています。納得して建てた家というのは後悔が少ないですから。
あとは、設計士に要望をどれだけ伝えられるかも大切です。しかし「対面キッチンがいい」「何LDK」「子供部屋は6畳」という固定概念を持つと、楽に間取りができますが、ありきたりの家になってしまう場合も。自分たちの理想や生活スタイルを実現するためにも、固定概念を捨ててイメージを膨らませることも大切です。

「NICHIHA SIDING AWARD 2011」審査員評


造形の面白みを感じる作品。外に対して閉じ、内に開くファサード。南に面するように計画したリビングを横長のメイン空間に巧みに組み合わせ、サイディングの魅力を最大限に引き出したデザインが秀逸。東西に伸びる横長のダイナミックな壁面に、異彩を放つストライプ柄(Type SP)が、繊細で潔い美しさを装い、玄関横の二重ファサードに用いた縦型スリット柄(Type BR)のブルーグレー色が、光のグラデーションにより、より一層深い表情をたたえています。

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